いつまでも輝く女性に ranune
「アメリカ人は合理的」は日本人の思い込み!? 在米企業で働いてみてわかった「実はウェットで雑談を好む」アメリカ人の姿

「アメリカ人は合理的」は日本人の思い込み!? 在米企業で働いてみてわかった「実はウェットで雑談を好む」アメリカ人の姿

◆ウェットで人間臭いアメリカ社会

 働き始めて改めて気付いた、アメリカならではの職場文化もある。一つは、「無駄話」の重要性だ。職場で同僚や上司に会えば、天気の話から始まり、服装や身の上話まで、ありとあらゆる世間話が繰り広げられる。

 日本人の多くは、ニューヨークのことを「合理的な町」だと思っているだろう。しかし、アメリカ社会で働いてみると、むしろウェットで人間臭いと感じる。

 ニューヨークは、アメリカの中では人情味のないクールな町といわれる。そのニューヨークでさえ、職場や地域では無駄話の花が咲く。その輪に加わらないと、互いを理解しようとしない変わり者だとみなされるぐらい、無駄話はコミュニケーションの手段として重要視されている。

 ホテルの職場では暑気払いや忘年会が盛大に開かれる。今年の暑気払いは、ヤンキースタジアムでの試合観戦とスタジアム内でのパーティーだった。少々早めに到着し、試合に見入っていたら、直属の上司がやってきて、「上のボスにすぐにあいさつしろ」と促された。昭和の時代、自分が駆け出し記者のころにあったような光景が、現在のニューヨークで繰り広げられている。

◆アメリカに対して“間違った先入観”を持つ理由

 かつて「グローバル・スタンダード」という言葉が日本でもてはやされた。バブル崩壊後の金融危機、その後の「金融ビッグバン」による規制緩和、そして大手銀行の淘汰と統合が起きたころだ。政治家も役人も経営者も「日本は世界レベルの基準で物事を考えなければいけない」と口をそろえて「グローバル・スタンダード」を唱えた。

 言葉は独り歩きし、日本人は経済大国アメリカには世界を束ねるような「スタンダード」があると信じていた。そして今も、ニューヨークには「グローバル・スタンダード」が存在すると思い込む日本人は多い。

 ところがニューヨークを見渡す限り、基準らしきものは何もない。それどころか、皆バラバラで、全く違う価値観で生きている。人種、宗教、肌の色、体臭まで多種多様だ。そんなところに「グローバル・スタンダード」などあるはずがない。
 
 島国の特性で、先入観で外国を見る癖が日本人にはある。まずはこれを改めないと、強い日本は取り戻せない。時代は大きく変わり、日本の経済力は低下する一方なのに、まだ「経済大国」と思い込んでいるのも、日本人の病だ。

 これ以上の遅れをとれば日本は先進国ではいられなくなる。「先入観」を排するために今すぐにでも現場に出て、自分の目で事実を確かめないと、先進国としての活路は見つからないかもしれない。

【谷中太郎】
ニューヨークを拠点に活動するフリージャーナリスト。業界紙、地方紙、全国紙、テレビ、雑誌を渡り歩いたたたき上げ。専門は経済だが、事件・事故、政治、行政、スポーツ、文化芸能など守備範囲は幅広い。
配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ