
旅の途中や新しい場所で待っている、予想もしなかった出会い。
その先に広がっていく物語と、小さな奇跡を描き出した極上の3本を紹介。
『ペンギン・レッスン』

©2024 NOSTROMO PRODUCTION STUDIOS S.L; NOSTROMO PICTURES
CANARIAS S.L; PENGUIN LESSONS, LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
軍事政権下のアルゼンチンで愛らしいペンギンが伝えること
70年代、軍事政権下のアルゼンチン。人生に行き詰まっていた英国人の英語教師、トムは名門寄宿学校に赴任。ビーチで重油まみれになった瀕死のペンギンを救ったことで、彼の人生に少しずつ光が差し込んでいく。
長く愛されているイギリスのコメディ映画『フル・モンティ』を手がけたピーター・カッタネオ監督が、実在する教師が自らの体験を綴った回顧録『人生を変えてくれたペンギン海辺で君を見つけた日』を映画化。
サルバドールと名付けられたペンギンはトムのそばに寄り添い、ときにはじっと話を聞き、やがて自由にプールで泳いだりもする。
監督は混乱する社会を背景に、歴史の裏側のささやかだけれど大きな交流を描いた。人々をつなぐ使者のようによちよち歩く愛らしいペンギンが、時代のうねりを伝えてくれる。
監督:ピーター・カッタネオ
出演:スティーヴ・クーガン、ヴィヴィアン・エル・ジャバー、
ビョルン・グスタフソン
新宿ピカデリーほかにて全国公開中
『旅と日々』

© 2025『旅と日々』製作委員会
脚本家の停滞した日々を少しだけ変える出会い
新作が書けずにいる脚本家の李は、ひとりで旅に出る。雪に包まれたおんぼろの宿で出会ったのは、宿主のべん造。凍える夜、べん造は李を雪のなかへと連れ出す。
一方、夏の雨が降る波の荒い海では、若い女と男が沖へと泳ぎ出す。
『ケイコ目を澄ませて』『夜明けのすべて』で新作を待ち望まれる存在となった三宅唱監督が、つげ義春の『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』を映画化。
現実と映画が入れ子であり、地続きでもあるこの世界で描かれるのは日常の中のサスペンスと、日々の足取りを少しだけ軽くして自分をいつもよりおしゃべりにさせてくれる出会い。
シム・ウンギョン、堤真一がおかしみを漂わせ、友情、恋愛などラベルを貼ることなく人と人との関係を描き出す場面に監督らしさが宿っている。
監督:三宅唱
出演:シム・ウンギョン 堤真一 河合優実
髙田万作 佐野史郎
TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

