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中学3年生の時、当時交際していた同級生との間で妊娠が発覚し、卒業後に出産。現在弱冠23歳にして、小学2年生の息子を育てる横井桃花さんという女性がいる。
シングルマザー全体が貧困に陥りやすい状況がある中で、横井さんの場合は若く出産時点で安定した収入がなく、相手からの養育費も得られないという二重三重の苦境があった。今もなお続く「お金」の苦労について聞いた。
◆元交際相手にブロックされ、養育費がもらえなかった

横井:中学卒業後、コンビニや清掃など様々な仕事を点々とした後、ご縁があってヘッドスパ店で、セラピストとして働き始めました。’25年2月に独立し、今は愛知県名古屋市内でヘッドスパ店のオーナーを務めながら、息子と二人暮らしをしています。
個人事業主という立場で、月の収入は多い時期で15万円前後。ここに、ひとり親家庭に支給される「児童扶養(母子)手当」(約4.5万円)と、0~18歳の児童を育てる家庭に支給される「児童手当」(約1万円)がつき、トータルの収入は20万5千円ほどです。

横井:そうですね。例えば子どもの小学校入学に合わせてランドセルを1つ買うのにも、7万近く出費があります。その他にも水着など、都度買い替えなければいけないものもあります。
ーー現在まで、子どもの父親に当たる男性から養育費をもらえていないとか。
横井:元交際相手とは出産後もしばらくは連絡を取り合っていて、「将来迎えに行くから一緒に育てよう」と言われていました。
ただ、相手は私が出産して間もない段階で、他の女の子に手を出し、中絶させていた。さらに「自分の子か分からない」と中絶代の支払いも拒んでいたんです。そうしたことも積み重なって、出産して1年ほどが経った時、急に「ずるずるダラダラこの人にしがみついてもいいのかな」と気持ちが引いて行ったんですよね。こんな状態でこの人の背中は子どもに見せられない、と。
縁を切る可能性も念頭に置いた上で、今後どうしたいのかをLINEで相手に聞いてみたら「逃げます」と言われました。せめて出産費は払ってほしいと伝えたのですが、そこから全ての連絡手段をブロックされてしまって。ショックはありましたが、そもそも何も考えてくれない人だったので、それ以上追うことは限界がありました。
◆養育費調停を断念した理由
ーー法的な手段に訴えることは考えませんでしたか。横井:未婚で子どもを産んだ場合、男性側が自分の子であることを認める「認知」という調停を起こした上で、養育費を請求するという2段階の調停手続きが必要になります。相談に行った弁護士からは、裁判のために時間と金銭の両面を犠牲にした挙句に、相手が支払いに応じないケースも珍しくないと聞きました。
認知すると法律上の親子関係が発生するので、父親が支援を要する場合やトラブルを起こした際に連帯する必要が出てきてしまう。それなら母と息子2人で生活する方がいいのではないかと言われ、結果的に諦めてしまいました。

