
新しい年を迎える庭に、静かな華やぎを添えてくれるのがハボタンです。葉を幾重にも重ねながら、美しさを深めていくその姿は、繁栄や円満といった縁起の象徴とも重なります。今回紹介する寄せ植えは、アンズガーデンのガーデンデザイナー・武島由美子さんによるもの。お正月という“ハレの日”を意識しながらも、華美になりすぎず、冬の庭にすっとなじむ佇まいが印象的です。
なぜハボタンは「縁起植物」と呼ばれるのか

ハボタンはキャベツの仲間。丸く重なるロゼット状の姿には、「円満」「調和」「重なり合う福」といった意味が重ねられてきました。
また、寒さにあたることで色づき、冬に最も美しくなるという性質も、新年の始まりと相性のよい理由のひとつです。花が少ない季節にあって、葉そのものの造形で存在感を放つ――その静かな強さが、ハボタンならではの魅力といえます。

さらに、ハボタンにはさまざまな品種があり、驚くほど多彩な表情があります。フリルのように波打つ葉。重なり合うロゼットのかたち。葉脈がくっきり浮かび上がるものもあれば、淡くにじむように色が変わるものも。また、苗の仕立て方もユニークで、コンパクトにロゼットを保つタイプもあれば、茎を立ち上げ、縦のラインを作る品種もあります。

この違いがあるからこそ、寄せ植えでは「主役」にも「リズム」にも、「背景」にもなることができます。ハボタンは、役割を選べる植物でもあるのです。
迎える場所に置く、正月のハボタン寄せ植え

玄関先や窓辺など、「人を迎える場所」に置かれたハボタンの寄せ植えは、正月飾りに代わる存在にもなります。しめ縄や門松のように期間限定で役目を終えるのではなく、冬から春へと季節をつなぎながら、長く楽しめるのも植物ならでは。
武島さんの寄せ植えは、あくまで自然体。祝う気持ちを込めながらも、主張しすぎず、暮らしの風景に溶け込むようにデザインされています。
