◆住む家を造ることから始めた

——自給自足生活にチャレンジした理由はなんですか?
田村:余一さんは、高校時代から環境問題について関心が強く、現代文明にあまり頼らない生活を目指していました。社会人になり、働きながら田村家の実家の土地を借りて、素人ながら7年かけて小屋を建てたんです。ほとんどの材料に廃材を使い、費用がかかったのは屋根材などの金物にかかった10万円くらいのみ。結婚当初は、その建物以外に何もないような状況だったので、そこから暮らすのに必要なものを徐々に揃えていった感じですね。
——自給自足とは、具体的にどのような生活なのでしょうか。
田村:電気はソーラーパネル、調理と暖房は薪の火、水は湧き水や井戸を活用しています。食材は3人家族が食べていける広さの田畑で、お米と40種類以上の野菜を栽培し、時には野草を摘んできます。ニワトリも飼っていて、味噌や塩などの調味料も自家製です。
◆文明を捨てたわけではない
——ご著書『わたしを幸せにする0円生活』に載っている写真を見ると、照明はあるし、パソコンも使われています。文明に完全に背を向けたわけではないのですね。田村:たまに誤解されるのですが、文明を捨てたとか、節約のために今のライフスタイルを続けているのではないのです。スマホ、パソコン、洗濯機、冷蔵庫、電動工具は使いますし、乗用車もあります。原始的なものと文明的なもののハイブリッドにして、生きづらさを感じないように暮らしていくための工夫をしています。

