漫画とセットとなった語呂合わせの暗記句を用いることで、年号だけでなく、英単語や英熟語、古文単語、漢字の単語まであっという間に覚えられてしまうという、究極の記憶術。それが「Vイメージ記憶術」だ。

現代の学生にとっては新しく、当時学生だった大人にとっては懐かしい、「暗記句+イメージを喚起する漫画」で構成された、「コミック」とも「参考書」ともとれる不思議な作品だ。
年号や単語が驚くほどスムーズに暗記できるだけでなく、一コマ漫画としても最高に楽しめる「学習×漫画」のコラボレーションは、大人の「脳トレ」としても、大きな力を発揮するはずだ。
今回は著者である村上龍一さんと、共著者であるご子息の天晴さんにその内容と発刊の経緯について、お話をうかがった。
◆「現代のビジネスパーソンにとって、大きく飛躍するための強力な武器となることを確信します!」(村上龍一)
――本書で紹介されている「Vイメージ記憶術」とはどのようなものでしょうか?村上龍一さん(以下、村上):「記憶術」とは、例えば、たくさんの人の顔と名前を即座に覚えたり、数万ケタの円周率を覚えてしまう方法のことです。
つまり膨大な情報を確実に覚える技術を「記憶術」というのです。この「記憶術」は、大昔から人類が連綿と受け継ぎ、磨き上げた知の技術です。その驚異的な効果と有用性はすでに科学的に証明されています。
しかし、この技術を習得するには多くの努力とある種の才能を必要とします。このあまりに属人的な「記憶術」を、誰もが簡単に体得できるように進化発展させたのが、私の確立した「Vイメージ記憶術」です。
――具体的なやり方について教えてください。
村上:「Vイメージ記憶術」では、記憶事項の同音異義語などを用いて、具体的にイメージできるものへ変換してストーリーをつくります。なぜこのように面倒な作業をするのか。それは、エピソード記憶は定着しやすいという脳科学の知見があるからです。具体例で言えば、地図をいくら眺めても地名は覚えませんが、実際に一度現地を旅行すれば不思議なほど頭に残ります。この原理を利用して「Vイメージ記憶術」では、擬似体験(バーチャルイメージ)することにより面白いほど記憶できるのです。
――本書を現代の読者に、どんなふうに読んでほしいですか?
村上:この作品は、体系的な記憶術の方法論に基づきながら、言葉遊びやイメージ遊びを駆使して、漫画のような面白さで記憶術を体験できます。人間の右脳ではイメージを、左脳では言葉を司ります。「Vイメージ記憶術」では、この両方をフル活用することで脳の活性化や発想の転換に繋がり、新しい視点・着想が生まれます。具体的には、暗記句・Vイメージ・イラストの三者が一体となり、スッと映像を頭に思い描けるので、確実な記憶の定着を実現できるのです。
この本は、私が半世紀以上にわたり追求した「Vイメージ記憶術」の到達点です。現代のビジネスパーソンにとって、大きく飛躍するための強力な武器となることを確信します!
◆「大きなイラストの一コマ漫画を用いた『記憶漫画』によって、苦痛な作業である暗記が、面白く・楽しめることを多くの人に気付いて欲しい」(村上天晴)
――本書を刊行するきっかけとなったのは天晴さんだそうですね。村上:本書の基礎となった『週刊・村上龍一の試験に合格する記憶術』は、2003年に大学受験生向けに書かれたものです。
私が、久し振りに実家へ帰り何気なく本棚にあったこの雑誌を手に取ったことから、本書は生まれました。その日、あまり記憶術に関心がなく受験生でもない私にとって、父の執筆した雑誌という程度の認識で斜め読みをしていたのですが、20年以上も前の作品なのに新鮮な面白さを感じて、思わず大笑いをして読み耽ってしまいました。
――どこが天晴さんの心の琴線にふれたのでしょうか。
村上:現代のマンガやアニメを身近に感じている私にとって、素朴ではありますが、参考書というよりはマンガに近い印象を受けました。おそらく、私と同じ世代、より若いZ世代にとっては、ネオダジャレのような言葉遊び・イメージ遊びを駆使したマンガ作品として、本書を楽しめると思います。そして、読み終わった後に、しっかりと暗記事項を覚えてしまっていることに、新鮮な驚きを感じてもらえるのではないでしょうか。
近年、学習漫画は児童向けだけでなく本格的な哲学・歴史・経済・自然科学など大人向けの実用書にも大きく裾野を広げています。大きなイラストの一コマ漫画を用いた『記憶漫画』によって、苦痛な作業である暗記が、面白く・楽しめることを多くの人に気付いて欲しい。私は、この作品が記憶術を体験できる一コマ漫画の嚆矢となるよう願っています。
今読んでもまったく古びた部分を感じさせない、「漫画×暗記」のハイブリッドな一冊。ぜひみなさんも、大いに笑えて大いにためになる『記憶漫画』の世界にどっぷり浸かってみてはいかがだろうか?





村上龍一(ムラカミ リュウイチ)
1952年愛媛県生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。バーチャル村上のペンネームを持つ。独自の「V(バーチャル)イメージ記憶術」を確立し、予備校の東進、資格の大原、LEC東京リーガルマインドなどで教材執筆・講演・講座の特別講師として活動。『学研ゼミ』や『経済界』等で連載執筆。「Vイメージ記憶術」の発想・手法を活用した記憶に残る宣伝広告を提案。『村上龍一の入試にでる英単語を1週間で覚えてしまう本』(中経出版)『バーチャル村上のおもしろ記憶術中学英単語』(受験研究社)『バーチャル村上の勝手にCM本』(南雲堂)など30冊以上を出版。総発行部数100万部超の著作実績は、記憶術界断トツNo.1。
村上天晴(ムラカミ テンセイ)
1989年愛媛県生まれ。同志社大学文学部国文学科卒業。
会社勤めの傍ら、父・村上龍一のクリエイティブ業務の企画及び執筆助手を務める。

