
そこで、片岡に同作のことはもちろん、デビューのきっかけや「父親の影響を強く受けている」という独自の処世術についても聞いた。
◆女児向けアニメより『コブラ』『あしたのジョー』に夢中
――片岡さんは、今作でアニメ声優に初挑戦したとのこと。もともと声優業にはどんなイメージを持っていましたか?片岡凜(以下、片岡):普段、実写作品に出ている私からすると、全然違った表現をされている未知の世界のお仕事というイメージが強かったです。
――そもそも、アニメを見る習慣は?
片岡:そんなにありませんでした。幼少期の頃、父がよく見ていた『あしたのジョー』や『コブラ』を一緒に見ることはあったんですけれど。
――多くの女性が通ってきたであろう、女児向けアニメを見ることはあまり…
片岡:なかったですね。それよりは父の影響のほうが大きくて、子供の頃は見よう見まねでコブラの真似をしたりしていました。ただ、そこでなんとなく「アニメは実写ドラマや映画よりもリアクションが大きいんだな」という印象を受けていて。「こういう違いがあるんだ。面白いな」と感じていたような気がします。幼少期のことなので、ほとんど無意識ですけどね。

片岡:ありました!単純に気になっていましたし、芝居の方法が全く違う声優という世界に足を踏み入れたとき、一体自分はどうなるんだろうという興味もあって。いつかやらせていただけたらなと思っていました。
◆役の“ギャップ”を大切にしたいと思った
――そんな片岡さんが、今回、劇場アニメ『この本を盗む者は』で、主人公の深冬役を演じます。お話を聞いたときの心境は?片岡:すごく嬉しかったです。事務所の社長から「作品が決まったよ」と連絡がきて、脚本などの資料がまとめて手元に届いたんです。そのとき期待に胸が膨らんで……一気に楽しみになりました。

片岡:自分の声をひたすら録音して聞いていました。あとは、原作の小説と漫画(コミカライズ)を読んで、キャラクターの軸をちゃんと作るという作業を大事にやらせていただきました。
――そのうえで、深冬はどんなキャラクターだと感じましたか?
片岡:最初は、「とっつきにくい女の子だな」という印象が強かったのですが、読み進めていくと単にとっつきにくいだけではなく「強さを持っている女の子なんだ」と感じるようになりました。それでいて、年相応のかわいらしさや意外とツンデレという一面もあって。アフレコでは、そういう“ギャップ”は大事にしつつ臨みたいなと思いましたね。
――ギャップがわかりやすいように、芝居にメリハリをつけるというか。
片岡:そうですね。そのあたりは意識していました。

