会社財産の「具体的な分与」と「揉めるポイント」
次に、先ほどの原則的な処理を前提とすると、具体的に何株の株式をどの時点で評価して分与するのかが問題となります。
実務では、夫婦の協力関係がなくなった時点(大半は別居時)の株式を、協議や裁判時での時価で評価することになります。
そのため、争いが激しくなりやすいのは、①いつの時点を財産分与の基準とするのか、②株式の評価です。
①については、熟年の夫婦だと別居している期間が長くなり過ぎ、いつの時点で、どのような目的で別居したのかも不明なケースもあります。このような場合には、例え、長期間別居していたとしても、それが離婚を前提としたものかが分からず、財産分与の基準時が調停や訴訟を起こした時点と認定されることもあり得ます。この結果、分与する財産の金額が増えてしまうこともあり得ます。
②については、市場価格のある株式の場合はそこまで争いが激しくないですが、市場価格のない株式の場合は、株式の評価で争いが生じやすい傾向にあります。離婚の実務では、相続と違い、公認会計士による鑑定はそこまで多くありませんが、争いが激化しやすいポイントです。
裁判所は、相当多額でない限り「2分の1ルール」を変えない傾向
財産分与の際によく争いになるのは、財産分与の寄与度です。財産分与の割合は、原則は1対1です。半々という言葉や2分の1ルールという言葉を聞いたことがある人も多いかと思います。他方、自らの財産を大きくしたのは自分であって、相手ではないので、自分の財産の半分を相手に渡すことに納得がいかないという人も多いかと思います。
そこで、財産分与の割合を変えることが主張されることが離婚の実務では多いです。
財産分与の割合が変わるのは、夫婦の一方に特別な資格や能力があり、その人の能力によって多額の財産が形成されていると言える場合です。裏を返せば、他方配偶者の貢献がないと言える場合でしょう。
この例としては、医者、スポーツ選手がよく挙げられますし、会社経営者の場合もしばしばこの例に登場します。実際の裁判でも、この点がよく争いになります。ただし、裁判所としては、相当多額の財産でない限り、2分の1ルールを変えない傾向にあります。そのため、財産分与の割合を変えたい場合は、多額の財産の形成過程を具体的かつ説得的に主張していく必要があります。
北畑総合法律事務所 代表弁護士
北畑 素延
