「ルールづくり」が必須
この事例の問題点は、佳代さん夫婦が本音を押し殺して「理想の祖父母像」を演じ続けた結果、息子夫婦による無自覚な“搾取”が定着してしまったことにあります。
この状況を改善するには、佳代さん夫婦が金銭負担や役割分担について「ルール」を定め、話し合いを提案する必要がありそうです。
育児の負担が大きくなり、帰省が喜べなくなっていること。帰省のたびに出費がかさみ、貯蓄を取り崩す事態になっている現状について率直に伝え、そのうえで「費用は折半」「消耗品は持参」といったルールを提案してみるとよいでしょう。
お金を「出したくない」のではなく、自分たちの老後資金を守るために「出せない」のだと正直に打ち明ければ、息子夫婦も「親に無理をさせている」という事実に気づくはずです。
育児や家事の丸投げについても、「帰省は月1回まで」「使った部屋は掃除して帰る」といった具体的な線引きをすることで、相手も実行に移しやすくなります。
もともと、孫が生まれる前は良好な関係だった息子夫婦ですから、適切な距離感があれば、また良好な関係性に戻れるかもしれません。
勇気を出して息子夫婦に伝えた結果…
その後、勇気を出して息子夫婦に現状を伝えた佳代さん夫婦。すると、2人はひどく反省した様子でルールづくりに賛成してくれました。
話し合いの最中、佳代さんの背中に、孫が笑顔で飛びついてきます。
「おばあちゃん、だいすき!」
その温かさは、何物にも代えがたい幸せがここにあることを改めて実感させてくれました。
「ありがとう。また遊びにきてね」
それは佳代さんから久しぶりに出た、心からの言葉でした。
シニア世代の負担を減らす「線引き」の工夫
昔から「孫は来てよし帰ってよし」という言葉があります。孫が来れば嬉しいけれど、帰ればホッとする――それがいつの時代も変わらぬ祖父母の本音でしょう。
孫に手がかかる期間は意外と短いもの。「よい祖父母であらねば」と肩に力を入れすぎず、その時間を楽しむためには、線引きが大切です。やがて成長した孫と幼いころの思い出話に花を咲かせる日も、そう遠くはないでしょう。
山原 美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー
