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「母さんの面倒はみられない」大企業勤めの長男は実家を捨てた…独居10年、年金月10万円の69歳母が最期まで肌身離さず持っていた〈ヘルパーへの手紙〉【FPが解説】

「母さんの面倒はみられない」大企業勤めの長男は実家を捨てた…独居10年、年金月10万円の69歳母が最期まで肌身離さず持っていた〈ヘルパーへの手紙〉【FPが解説】

ヘルパーに託された手紙の中身

さらに5年後。「お母様が亡くなりました」と連絡が入りました。電話の主は、母の家に通っていたヘルパー。葬儀を終えたあと、ヘルパーから一通の手紙を手渡されました。母が最期まで肌身離さず持っていたというその手紙を開封すると、そこには強烈な「意思表示」が記されていました。

「私には子どもが2人いますが、借金を抱え貧しい生活をさせてしまった。夫が亡くなってから少しでも親子関係を修復したいと働き続け、子どもに財産を託したいと願っていたが、最期まで叶うこともなく子どもに捨てられてしまった。私の死後、残った財産は最期まで日々の生活を支えてくれたヘルパーさんに全財産を渡したい」


 

「他人への遺贈」は認められるのか

Aさんは愕然としました。かつて貧乏だからと捨てた実家。しかし母は借金を完済し、財産を残していました。生前の同居の申し出は断ったAさんでしたが、いざ母が亡くなると「財産があるなら、法定相続人である自分がもらうべきだ」と主張します。海外の弟は相続放棄をしましたが、Aさんは納得がいきません。

「親は最期までなにもしてくれなかった」そう憤るAさんと、母の最期を看取ったヘルパー。ここにトラブルの火種が生まれました。

結果として、Aさんは母の財産をすべて相続することになります。

なぜなら、母が遺したのが法的な要件を満たした「遺言書」ではなく、単なる「手紙」だったからです。法的には、形式不備の遺言は無効です。また、生前にヘルパーと「死んだらあげる」という契約(死因贈与契約)を書面で交わしていたわけでもありませんでした。

皮肉なことに、母が最期に託した「ヘルパーに全財産を」という願いは、法的な知識がなかったために幻となり、実子であるAさんも、手紙の内容を知っていたヘルパーも複雑な思いをすることになってしまいました。

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