
植物性食品やプラントベースという言葉を耳にする機会が増えたものの、「なんとなく味が薄そう……」「選ぶきっかけがない」などの理由から、食べたことがない人も多いのではないでしょうか?
スーパーや給食でもおなじみ「QBBベビーチーズ」を手掛ける老舗チーズメーカー・六甲バターも、植物性チーズの開発に着手。今回はその裏側を深堀ります!
さらに、普通のチーズ“よりも”植物性チーズだからこそ美味しく食べられる相性抜群レシピもご紹介。
教えてくれたのは……
六甲バター株式会社 マーケティング本部 事業開発部長
中尾 真範(なかお まさのり)さん
2023年に植物性チーズ代替食品のブランド『Q・B・B PLANT MADE®』を立ち上げ、植物性食品市場に参入。万博で同ブランドの商品を使用したヴィーガンレストラン『QBBこれもいいキッチン』を開店し、好評を博した。
チーズ1kgをつくるために、21kgのCO2が排出されている⁉
半世紀以上、チーズづくりに携わってきた六甲バター。チーズは人を笑顔にし、食卓を豊かにしてくれる存在であるのと同時に、チーズ1kgを生産する際に約21kgものCO₂が排出されるとも言われているのが現状(※1)。地球環境への影響は無視できません。そこで、チーズを愛するメーカーとして、この現実に向き合うべく、環境にも体にもやさしく、それでいてチーズ好きが“おいしい”と感じられる新しい選択肢を作ることを決意。植物性チーズ開発への挑戦が始まりました。
※1 出典OurWorldinData.org
チーズを守るために、新しいチーズも作る
チーズ文化を次の世代へつなぐために生まれたのが、新ブランド「Q・B・B PLANT MADE®」。開発当初は社内外から「なぜ自社のメイン商品と競合する商品を?」と驚かれましたが、“チーズを愛するからこそ、持続可能なチーズ文化を育てたい”と考えたのです。しかし、乳タンパクを使わずにチーズ特有のコクや伸びを再現するのは容易ではありませんでした。化学的あるいは数値的にチーズに近い物性・味を目指すのではなく、人が口に入れた時に総合的にチーズと感じる物性・味を目指すと考え方を変えたことで、この困難を突破でき、ようやく「チーズ好きのための植物性」と胸を張れるものができました。

