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“あおり運転”してきたトラックの運転手が警察に捕まるまで。「あの時思い切ってよかった」ドライバーの対応とは

“あおり運転”してきたトラックの運転手が警察に捕まるまで。「あの時思い切ってよかった」ドライバーの対応とは

◆藁をも掴む気持ちで“Hei Siri”

 そんな緊張の中、徳光さんはふと思い出したように、スマホの呼びかけ機能を使うことを試みたそうです。普段はほとんど使わない機能でした。

「ダメ元でした。正直、声が震えてました。『Hei Siri、あおり運転を受けているので警察に電話して!』って。言った瞬間、自分でも驚くぐらい声が上ずってたのを覚えてます」

 すると、スマートフォンが静かに反応し、画面には発信までのカウントダウンが表示されたそうです。

“3…2…1…”

 その数字がゼロになった瞬間、自動的に警察へ電話が発信されたとのこと。

「警察の声を聞いた瞬間、少しだけ安心したんです。場所を伝えるのが必死でしたけど、なんとか冷静を装って説明しました」

 その後も、トラックは追跡を続けていたらしく、徳光さんはただ前を見据えながら、助けが来ることを祈るしかなかったと語っています。

◆ルームミラーに映り込んだ赤色灯

 やがて、ルームミラーに“赤い光”がちらついた瞬間、胸の奥の緊張の系がほぐれたといいます。

「見えたんですよ。赤色灯が。あれほど安堵した瞬間はなかったです」

 警察車両はトラックの後方に割り込み、その後もう一台のパトカーが徳光さんの前へ。前後を挟まれた形で車列が停止し、事態はようやく動き出しました。

警察官
「本当に助かったと思いました。降りたときは足が震えてましたけど、警察官の方が落ち着いた口調で声をかけてくれて、それで少し冷静になれました」

 トラックを運転していた男性は、その場で事情を聞かれ、結果的に検挙されたとのこと。

 動機について徳光さんは詳しく聞いていないものの、警察によれば、やはりコンビニからの合流が原因の可能性が高いという説明を受けたそうです。

「普通なら一瞬イラッとして終わる程度だと思うんです。でも、あの人は違いました。ただひたすら、言葉も出さずに追い続けてきた。それが何より怖かったです」

 取材の最後、徳光さんはこう締めくくりました。

「Siriには本当に助けられました。あの時思い切って声を出してよかった。もし躊躇していたら、どうなっていたか分からないです」

<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
配信元: 日刊SPA!

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