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電車や新幹線の車内でマナーの悪い乗客に遭遇しても声をかけにくい現実がある。とくに「荷物の置き方」に関しては不快に感じた経験がある人も多いはずだが……。
◆「あ、今、友達が来るんで…」素知らぬ顔で席を占拠

「遠目に通路側の席が空いているのが見えました。近づいていくと、席にはキャリーケースがデーンと置かれていて……。窓側には若い女性が座っており、まるで『隣の席は使わせません』と言わんばかりでした」
大谷さんは「すみません、ここいいですか?」と声をかけたという。しかし、女性はスマホを見たまま顔も上げず、「あ、今、友達が来るんで……」とだけ返してきた。
「そうですか」と一度は引き下がり、他の空席を探そうとした大谷さん。だが、車内には次々と他の客が乗ってきて、自由席はどこも埋まり始めていた。しかたなく通路に立っていたが、発車しても彼女の“友達”とやらは現れず、荷物はそのままだった。
「周囲も私と同じように立っている人が多く、明らかに座席が不足している状況でした」
そうこうしているうちに、次の駅に到着し、60代くらいの“おばちゃん”が乗ってきたという。通路を歩いてきたかと思うと、迷いなくそのキャリーケースの前に立ち止まった。
◆おばちゃんの一言に、車内に小さな笑い声が…
「おばちゃんは、特に声もかけず、スッとその荷物を足元にスライドさせ、何食わぬ顔で通路側の席に座ったのです」当然、窓側の若い女性は驚いた顔をしていた。すると、おばちゃんがこう言い放った。
「ここ、空いてるなら座るよ。荷物はそっちに置きなさい」
一言だけ、でも低くハッキリとした声だったという。若い女性は何も言い返せず、黙って他の荷物もどけて、スマホをいじりながら視線をそらしていた。
「女性はなんとも気まずそうで、車内の空気が一瞬ピリッとしましたが、次第に周囲には小さな笑い声が……。私も立ったままそのやりとりを見ていて、思わずスッと胸が軽くなる思いでした。
まさに“正義の一言”。誰もが感じていたモヤモヤを、見事に一刀両断してくれましたね」

