戸籍の追跡困難、海外逃亡で所在不明…相続発生後の不動産売却を阻む「行方不明の相続人」をどうすれば?【司法書士が解説】

戸籍の追跡困難、海外逃亡で所在不明…相続発生後の不動産売却を阻む「行方不明の相続人」をどうすれば?【司法書士が解説】

「親が亡くなったので、実家を売って相続人同士で分けたい」…相続の現場ではありふれた相談です。しかし、売却手続きを進めるうちに「行方不明の相続人(所在不明相続人)」の存在が判明し、手続きがストップする、そんなケースもあるのです。実情と対策について見ていきます。司法書士・佐伯知哉氏が解説します。

「相続人の一人の所在が不明」…まさかの指摘に万事休す!?

相続の現場において「実家を売却して相続人同士で分ける」ことは、ごく一般的な手続きです。相続登記の準備を進め、不動産会社に査定を依頼し、「さて、ようやく売れるぞ!」と思ったところで、

「相続人のうち、お一人の所在がわかりません。このままでは遺産分割協議ができず、不動産の売却も進められません」

というまさかの事態に――。

実は「所在のわからない相続人」によって相続手続きが停まってしまうことは、さほど珍しくありません。つきあいが途絶えて連絡が取れないきょうだいや、実は亡くなった親が再婚者で片親違いのきょうだいの存在が判明するも、彼らと連絡手段がないケースなどもあります。

「行方不明の相続人」がいると、実家が売れなくなる理由

まず前提として押さえておきたいのは、相続発生の時点で自動的に「全員の共有名義に書き換わる」わけではないという点です。

人が亡くなると、その方の財産は「遺産」の状態になり、だれがどの財産を取得するかは、相続人全員による遺産分割協議で決める必要があります。

不動産についても同じで、

「実家をだれが相続するか」

「売却して代金を分けるのか」

といったことは、相続人全員で話し合い、合意内容を「遺産分割協議書」という形にまとめるのが原則です。

したがって、

●相続人の一部が行方不明である

●住所はわかっているが、連絡がつかない・協議に一切応じない

といった相続人がいると、そもそも遺産分割協議そのものが成り立たず、「実家を売る」「名義を変える」以前の段階で止まってしまうことになります。

不動産会社からすると、

「相続人全員の合意が確認できなければ売買契約書を作れない」

「後から『そんな協議には参加していない』と言われるリスクがある」

といった理由から、所在不明相続人がいる相続不動産の売却には非常に慎重にならざるを得ないのです。

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