「実家を売りたいのに売れない」となる前に
最後に、ポイントを整理しましょう。
ポイント①
相続が発生しただけで実家を自由に売却できるわけではなく、まず相続人全員による遺産分割協議が必要になる。
ポイント②
行方不明・所在不明の相続人や、連絡拒否の相続人がいると、遺産分割協議が成立せず、「実家を売りたいのに売れない」という状態に陥る。
ポイント③
法律上は、不在者財産管理人の選任、遺産分割調停・審判、共有物分割訴訟、さらには改正民法による所在等不明共有者に関する新制度など、いくつかの解決手段が用意されている。
ポイント④
しかし、いずれも時間・費用・精神的負担の面でハードルが高く、できることなら「そうなる前に手を打つ」ことが望ましい。
ポイント⑤
遺言書や家族信託といった生前対策により、“行方不明相続人問題”が顕在化するリスクを大きく下げることができる。
すでに相続が発生しており、
●行方不明の相続人がいる
●一部の相続人と連絡が取れない
●不動産会社から「このままでは売却できません」と言われている
という方は、ネット検索やAIの情報だけで対処するのではなく、一度、相続と不動産に詳しい専門家に相談してみることをお勧めします。
まだ両親が健在で「実家の今後」が気になり始めた段階にあるなら、「うちの家族の場合、どんなトラブルが起こり得るか」を早めに洗い出し、遺言や家族信託などを含めた生前対策を検討することが、結果的に家族全員を守ることにつながります。
「実家を売りたいのに売れない」という事態が起こる前に、所在不明相続人・行方不明相続人の問題は、早めの情報収集と専門家への相談で、リスクを相当程度コントロールすることが可能です。
佐伯 知哉
司法書士法人さえき事務所 所長
