徐々にエスカレートしていく娘の“おねだり”
しばらくすると、車検と保険料の支払いが重なり、家計が少し厳しいという話。その次は、七五三の費用の相談……斉藤夫妻は、娘家族が本当に困っているのだと思い、自分たちにできる範囲なら、と応じていました。
しかし、娘夫婦からの相談は増える一方です。
「妃葵が、誕生日にこれが欲しいっていってるの。でも、ウチの家計じゃなかなか買ってあげられなくて……」
「妃葵がテーマパークに行きたいっていってるから、お父さんとお母さんも一緒に行かない?」
「そんなに家計が苦しいのか?」という疑問はあったものの、斉藤夫妻は「かわいい孫に不憫な思いをさせたくない」と、援助を続けていたそうです。
しかし、次第に「援助は当然」になり、感謝の言葉も薄れていきました。そして、帰省のたびに、要求する金額は大きくなっていったのです。
真理子さんが2人目を授かったことで、前の年のお正月には「車を買い替えたい」と言われました。もうすぐまたお正月がやってきます。
「今年はなにをおねだりされるのか……お正月なんてこなきゃいいのに」斉藤夫妻は、心が疲弊し始めているのを感じていました。
そして、とうとう、娘夫婦に対して嫌悪感を抱いてしまうようになったのでした。
そろそろマイホームを買おうと思う
「あのさ、相談があるんだけど……」
年末年始に帰省した真理子さんが、突然切り出しました。
イヤな予感がしてきた斉藤夫妻でしたが、イヤな予感とは当たるものです。
「そろそろマイホームを買おうと思うんだよね」
「ちょっと調べたんだけど、マイホーム購入のために親から資金援助を受ける場合、1,000万円までは税金がかからないんだって」
これまでとは桁の違う金額に、斉藤夫妻は絶句。「少し考えさせてくれ」とお茶を濁すのが精一杯でした。
娘家族が帰ったあと、斉藤夫妻は話し合いました。年金と貯金があるとはいえ、老後はまだまだ長い。こんなペースで援助を続けて大丈夫だろうか、不安が募ります。
またなにより、娘夫婦から連絡が来るたびに「今度はなんだ……?」という緊張が先に立ってしまうようになっている現状が許せませんでした。
「このままでは、関係が壊れてしまう。お金の問題を一度ちゃんと線引きしなきゃいけないな」
娘夫婦と距離を置くことが、夫婦の頭をよぎりました。
