◆「第2のふるさとづくり」は成功するか?
観光庁が目を付けたのが都市部に住む若者でした。コロナ禍で、旅行における混雑や密を避けて自然に触れる旅のニーズが形成され、日常生活ではリモートワークの普及でライフサイクルも変化しました。
そうした状況を受けて、「何度も地域に通う旅、帰る旅」という新しい旅のスタイルを推進するため、「第2のふるさとづくり」プロジェクトを立ち上げたのです。このプロジェクトは地域との交流や地域運営への参画を通じて、繋がりを生み出すというもの。伝統工芸や祭りなどのイベント、観光資源などを軸に若者が何度もその地を訪れるロールモデルを創出しようとしています。
ただし、「第2のふるさとづくり」は2021年10月にスタートしましたが、目覚ましい成果が出ているとは言い難いのが現状です。認知度も高くはありません。
しかし、若者の移住者が増加しており、地方への関心は高まっています。また、消費動向も「モノ消費」「コト消費」を経て、現在は「トキ消費」の時代。「トキ消費」とは、博報堂生活総合研究所が提唱する概念で、同じ志を持つ人とその場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費行動。
イベントなどの貴重な瞬間に立ち会うといったものや、貴重な体験を創出する場を応援するという意識が背景にあります。
バブル期はモノを消費して他者とのコミュニケーションや差異化を図っていましたが、それ以降は他者と共感する体験に価値が置かれるようになりました。
そこから、SNSが発達したことで貴重な体験が可視化されるようになると、それを共有してコミュニケーションを図ることに新たな価値を見出すようになったのです。
中国人観光客の減少が経済に与える負の影響ばかりが取り沙汰されています。しかし、今こそ苦境にある観光地を応援したいところ。観光地側も「貴重な体験ができる」ということをもっとアピールするべきなのではないでしょうか。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

