◆「持ち場を離れるわけには、いきませんので」

「会議の時間が迫っていたため、そろそろ職場に戻りたかったんです。だから『連れて行ってくれますか?』と頼みました」
すると「持ち場を離れるわけには、いきませんので!」と一蹴されたという。エレベーターの場所を尋ねるも、その駅には階段しかなかったのだとか。
「派遣スタッフのママさんが『ベビーカーを運ぶのを駅員が手伝ってくれない』と愚痴っているのを聞いたことがあります。その時は聞き流していましたが、確かにこれは困るな、と痛感しました」
結局、東也さんが彼女をおぶって、汗だくになりながら医務室まで運んだそうだ。
「会議にはもちろん遅刻しましたよ。命に代わるものはないと思ったので……でも悲しいことに、誰もがそう考えているわけではないんですね。あの時の無関心を思い出すと、今でもぞっとします」
◆個人の幸せが重要視される都会だが……
東也さんには、他にも「人気アイドルのコンサートで、酸欠で歩けなくなって廊下にうずくまっていたが、スタッフ含め誰も助けてくれなかった」という経験もある。当たり前だが、人間はひとりでは生きていけない。個人の幸せが重要視されがちな都会だが、個も大切にしつつ、周りに気を配れる余裕も、少しは残しておきたいものである。
<文/綾部まと>
【ハッシー橋本】
愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 X(旧Twitter)@hashimotosan84

