◆繁忙期は冗談抜きで帰れない
名古屋で大型スーパーのチラシの企画営業をしている、三木結月さん(仮名・25歳)。印刷所が稼働を終えるまでが超繁忙期で、その壮絶な働きぶりを教えてくれました。「今までスーパーの繁忙期はGW、お盆、年末年始くらいだったのが、昨今は11月末の『ブラックフライデー』が台頭したことで、10月中頃からクリスマスまで自分が何時出勤で何時退勤なのか忘れるくらいに忙しいです。
定時は18時半ですが、この時期は朝4時過ぎにタクシーで帰宅し、シャワーを浴びて少し寝て、また昼過ぎに出社します。ある日、出勤したら上司の服が変わってなかったんです。『あ、この人帰ってない』って気が付いたとき、近い将来の自分を見ているようで、“転職”の文字が頭をよぎりました」
◆疲労困憊の人間に細かいチェックをさせないで
三木さんの仕事は、レイアウト作成や、掲載商品の情報集め、出来上がった紙面に正しく情報が記載されているかの確認、打ち合わせなど幅広い。この中で帰れない原因となっているのが、「掲載情報の確認」と「クライアントとの打ち合わせ」だという。
「打ち合わせは毎週2日、決まった曜日、時間に行われる約束ですが、それが守られることは稀で、2時間待ちは当たり前です。彼らは自社のビルが閉まる時間には帰れますが、私たちは2日後の打ち合わせに備えなければいけない。打ち合わせが終わっても、私たちの仕事はそこから始まります」
入社当初は夜遅くまでみんなで残って仕事をするのが、まるで高校時代の文化祭のようで楽しかったそう。今ではそれが珍しくなくなり、楽しさは忘れてしまったという。
「翌日、修正紙面のチェックをします。これが地獄です。この時期はブラックフライデー号、クリスマス号、年末号、お正月号って最低4本分のB2チラシを一気に作ります。そして、巨大な紙面に並ぶ無数の商品名、価格、産地。一言一句、先方の資料と間違いがないか目を皿のようにして確認するんです。睡眠不足でフラフラの人間に、一文字のミスも許されないチェックをさせる。上層部の気分次第で、印刷直前に一から作り直しになることもザラ。気が狂っているとしか思えませんね」
そんな極限状態では、当然ミスも起きる。三木さんが最も冷や汗をかいたのは、店舗ごとの「営業時間」の記載ミスだった。
「大晦日や元旦の営業時間は店舗ごとにバラバラで、しかもギリギリまで決まらない。その修正依頼を見逃して印刷までいってしまったんです。刷り直しで対応しましたが、損害が出てるので、上司からは凄まじい勢いで責められました。さらに元旦早々、お菓子の価格ミスや魚の産地ミスまで発覚。関わった全員が顛末書を書かされましたが、『連日朝4時まで働いていて集中力がありませんでした』以外、何を書けと言うんでしょうか。疲労困憊の人間を使い倒しておいて、ミスは許さない。酷いとしか言いようがないですね」

