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多様化する「お墓の在り方」――雑草だらけ・荒れ放題にしないために“買う前”から考えたい「墓じまい」【司法書士が解説】

多様化する「お墓の在り方」――雑草だらけ・荒れ放題にしないために“買う前”から考えたい「墓じまい」【司法書士が解説】

昨今、お墓の在り方が多様化しています。その背景には、お墓を維持していくことが難しく、荒れ放題になってしまったり、墓じまいに膨大な資金がかかってしまったりといった、さまざまなトラブルの存在があります。本記事では、太田垣章子氏の著書『「最後は誰もがおひとりさま」のリスク33』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集して、自分が亡くなったあとの「お墓」の考え方や準備について詳しく解説します。

自分がどこの墓に入るかも考えたことがありません……

少子化もあり多様化する「お墓の在り方」

お彼岸やお盆の墓参りは、日本の風物詩のひとつです。私も小さな頃は、家族総出で田舎に戻ってお墓参りをするのが恒例でした。霊園にはたくさんのお墓が並び、各家がきれいにお掃除をして雑草をとり、お花を供えています。すぐ枯れてしまうので、造花を飾っているお墓までありました。

子ども心に、きれいなお墓は気持ち良いな……と思っていました。そのようなお墓参りでしたが、すでに30年前ですら「この家は誰も来ないのかな」そう思うような、雑草が生え放題のお墓もありました。

今はどうでしょうか? 大きな霊園なら、管理料を払って維持してもらうこともできるでしょうが、それでも3割くらいは荒れ放題の状態である印象です。この現象になる理由は、お墓参りをするという風習が廃れてきたからかもしれません。遠方に住んだりすると、なかなか墓参りだけに戻ることもできないでしょう。

田舎に誰か親族が住んでいれば、会いに行くという目的もあります。ところがそういう存在もいないとか、会うことが楽しいものではなければ、どんどん足が遠のくのも仕方がありません。さらには、少子高齢化の影響もあると思います。

海外の個々のお墓と違い、〇〇家の墓というシステムは、この先も脈々と子孫が繁栄していくことが前提です。ところが日本は、世界中でも突出した少子高齢化社会。この家ごとのお墓という制度に、無理が出てきているのではないでしょうか。

私の父は8人兄弟、母は4人兄弟です。その二人の間の子どもは、姉と私の2人。姉夫婦に子どもがいなかったので、その下は私の息子ひとり。これは我が家だけの、特別な状態ではないと思います。ところが娘二人で落胆していた両親が、私が男の子を産んで家に戻ってきたことで、新たに墓を建て直しました。何を今さらです!

父方の田舎が兵庫県の山奥ということで、車の運転のできない母だけでは墓参りにいけません。それを口実に、父が亡くなる前に、住まいの近くの霊園にお墓を準備したのです。建ててしまったものは、今さら仕方がありません。

今その墓に両親が眠っていますが、この先、誰が管理していけるのでしょうか。息子の時代、彼がこの先日本だけに住み続けるとも限りません。結婚しなければ、子どもがいなければ……もはやお墓を維持していくことは不可能だと思っています。

正直なところ荒れ放題になるのなら、どこかの段階で墓じまいを考えないといけない問題だと思っています。ところがこの墓じまい、これが本当に大変なのです!

想像以上にお金がかかる「墓じまい」のリアル

雑草が生い茂るお墓にしないために、親族でしっかり相談を

まずお墓の底地ですが、自身の所有権ではありません。一般的には永久の使用権です。使える権利を買っているのです。だから使わなくなれば、墓石を撤去して更地にしないといけません。そしてこの立派な墓石ですが、撤去して処分するためには産業廃棄物として多額の費用がかかります。買うときにも結構なお値段がしたと思いますが、撤去するのも大変なのです。

また墓の中で眠っている骨壺ですが、もし墓じまいするとなるとどうなっていくのでしょうか? まずこの骨壺の状態のまま、合同墓には移せません。骨壺が大きいため、たくさんの方々に利用してもらうには場所を取ってしまうからです。

まずはコンパクトにします。そのために骨壺に入ったお遺骨を、小さくしなければなりません。お遺骨は長い間、暗く閉め切られた中に収められています。そのため湿った状態です。一般的にはまずは洗って乾燥させ、そこから粉砕して麻袋等に入れて、合同墓に移されていきます。

この費用が、1体ずつかかってきます。その費用は地域やお寺等々、個々に違うのでしょうが、基本的には数万では収まりません。手間暇を考えると、おそらく2桁万円はかかるはずです。もし代々続いた一族の皆が眠っているお墓なら、1体にかかる費用掛ける人数分ですから、相当な金額になってしまうでしょう。だから墓守の責任も、重大なものです。

いずれ墓じまいを考えている方々は、その費用や手続きの詳細を予め確認しておきましょう。墓を購入する際に、墓じまいのことを考える人はいないと思います。これからお墓を準備しようとしている方は、そのこともしっかり考えていただきたいと思います。

最近多い、建物の中の機械式の墓も同様です。もし契約する際には、何年、何十年か先の、終う時のこともしっかり確認しましょう。最近では、一族の墓には入らず、最初から合同墓にと願う人も増えてきました。また樹木葬や海洋葬、宇宙葬なるものまで出てきました。自身の最期を「その辺に放っておいてくれ」ではなく、しっかり考えて決めることが大事です。

私個人的には、亡くなった後の骨に手を合わされても嬉しくないなと思っています。それより今生きている間に、たくさんの思い出を作っておきたいというのが願いです。焼却する炉の問題もあるでしょうが、骨で残さず、灰になるまで焼き切ってくれれば良いのですが……。

このようなことも、年をとってからだと考える余裕がなくなります。今のうちに、親族でしっかり話し合っておきましょう。そうでないと雑草が生い茂るお墓になってしまいます。

太田垣 章子
司法書士、賃貸不動産経営管理士、合同会社あなたの隣り代表社員

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