法律上「使い込み」が疑われるリスクがあるケースと、その対応策
以下のような状況では、法的にも使い込み(不当利得・不法行為)が疑われやすくなります。
●親の判断能力が低い時期に大口の出金がある
●領収書等の証拠がなく使途説明ができない
●親のお金を自分や配偶者の生活費に流用していた
●お金の動きを家族に一切共有していなかった
実務で感じるのは、「何をやったか」よりも「説明できるか」が極めて重要だということです。
家庭内の使い込みトラブルを避けるための“実務的対策”
トラブルの多くは、生前に仕組みを整えることで大幅に予防できます。
①日常の支払い・引き出しの“記録”を必ず残す
これは最も効果的な対策です。
●領収書
●支払いメモ
●医療費や介護費の明細
●立替え履歴
こうした記録があるだけで、相続発生後に説明が容易になり、疑いはほぼ消えます。
②キャッシュカード・通帳の管理は「家族の透明性」を確保する
1人だけが通帳・カードを握る構造が、最も揉めやすいといえます。
●引き出し日は共有
●金額は共有
●使途もメモだけで十分
固定費・介護費などは家族LINEで共有するだけでトラブル発生率が大幅に低下します。
③委任状・家族信託で「誰がどの範囲を管理するか」を事前に設定
家族信託や生前の任意代理契約は、「将来、財産をどう管理するか」のルールを明文化できる制度です。
●誰が管理者になるのか
●どの費用に使ってよいか
●報告義務をどうするか
を事前に決めておくことで、不正疑惑がほぼ生まれません。
特に家族信託は、認知症期の財産凍結を避けながら透明性の高い管理ができるため、介護期のトラブルを劇的に減らす仕組みです。
④成年後見・任意後見も最終的な防御策として検討
親が意思判断できない段階なら、成年後見制度を使うほかありません。ただし、
●家庭裁判所の監督が入る
●柔軟性が低い
●専門職後見人の報酬が必要
という特徴があり、最後の手段として位置づけられます。家庭裁判所への報告など監督機能が働くため、財産の不正使用を防ぐことができます。
