
こんにちは、奈良在住の編集者・ふなつあさこです。その年の干支にゆかりのある社寺にお参りすることを“干支参り”といいますが、午年の今年ぜひお参りしてほしい奈良県生駒(いこま)市の「往馬大社(いこまたいしゃ)」をご紹介します!
「生駒って奈良のどのへん?」と思われる方もいはるかもしれませんが、それもそのはず。首都圏からだと、京都から近鉄で奈良に向かう方が多いですもんね。生駒は、奈良県と大阪府の県境にある生駒山の奈良側のエリア。京都から近鉄なら、大和西大寺駅で大阪方面に乗り換えて生駒駅までは10分ほどです。
生駒山を神奈備(かんなび。神さまの宿るところ)として祀る日本有数の古社・往馬大社へ「今年もウマく駆け抜けられますように!」とお参りしつつ、古民家をリノベーションしたすてきなゲストハウスや生駒の食材をたっぷり使ったカフェにも立ち寄ってきました♪
絵馬発祥の古社・往馬大社へ干支参り

生駒駅から近鉄生駒線に乗り換え、一分(いちぶ)駅から徒歩10分ほどで、こんもりとした往馬大社の鎮守の杜(もり)が見えてきます。

鳥居をくぐり、深い緑に包まれた階段を上がって本殿を目指します。

そんな往馬大社、正式には「往馬坐伊古麻都比古(いこまにいますいこまつひこ)神社」といいます。かつては生駒山を神奈備としてお祀りし、今では氏神さまとして本殿に「伊古麻都比古神(いこまつひこのかみ)」「伊古麻都比賣神(いこまつひめのかみ)」が鎮座しておられます。
そのほかの5柱の神さまは、いわゆる“八幡さん”です。八幡さんは多くの場合、譽田別命(ほんだわけのみこと。応神天皇)を中心に3柱の神さまがお祀りされているんですが、実は神社によってそのメンバーはまちまち。
語り出すとややこしいので割愛しますが、往馬大社さんが珍しいのは、メインが気長足比賣尊(おきながたらしひめのみこと。応神天皇の母・神功(じんぐう)皇后)であること。
さらに神功皇后の父母である息長宿禰王命(おきながすくねおうのみこと)、葛城高顙媛命(かずらきのたかぬかひめのみこと)もお祀りされています。

往馬大社は、古くから火の神さまとしても信仰を集めてきたほか、宮中で正月7日に行われていた「白馬(あおうま)の節会」という重要な行事も往馬の神様のお告げによって始まったと伝わっています。これは21頭の白馬を天皇がご覧になり、邪気を祓う行事だったそうですが、実際の馬の代わりに絵馬が奉納されるようになったのだとか。

そんなわけで、馬にまつわるお守りやおみくじも! グリーンの絵馬と美しい織り地の「生命守」は、生駒在住のアーティスト・良奈(よしな)ちはるさんがデザインを手がけたもの。
生命守は4色あり、写真のピンクは3〜5月、ブルーは6〜8月に授与されます。ちなみに9〜11月はオレンジ、12〜2月はグレーで柄もそれぞれ異なります。
旅する人と暮らす人が笑い合えるゲストハウス「natomi宿」

大阪にも奈良にもアクセスのよい生駒は、ベッドタウンとしては人気が高いものの、宿はちょっと少なめ。そんななか、南生駒に2025年4月にオープンしたのがnatomi宿(しゅく)。

かつては鍛冶屋さんだったという古民家をリノベーションしたこちらのゲストハウス。入ってすぐの空間は天井をスケルトンにしてあり、開放感があります。


写真提供:natomi宿
こちらのスペースでは宿泊の際に朝食(要予約)をいただけるほか、金曜と土曜の夜と土曜の昼(不定休あり)には、アジアごはんとおばんざい「菜と実」としてオープンしています。
宿のゲストと地元のお客さんが食事をともにしながら、和気あいあいとコミュニケーションを取っていることもあるのだとか。

いわゆるゲストハウスというよりは、リーズナブルに泊まれるプチホテルのようなnatomi宿。とくに定員2名の洋室「山粧う(やまよそおう)」は、ゲストハウスビギナーでも安心のプライベート感です。ちなみに、お手洗いとシャワーは共有です。
宿を訪れるのは、地図検索サイトなどで調べてアクセスのよさに気づいたインバウンド観光客が2割ほど。国内では観光、ビジネスなど利用目的も年代も幅広いそう。

ドミトリータイプの「山眠る(やまねむる)」は女性専用。洞窟みたいなアーチ形天井の個室に入ると、まゆの中にいるみたいで落ち着けそう。

定員5名の「山滴る(やましたたる)」は、まるで親戚のおうちに遊びに来たかのような和室。お布団を敷いてもらえます。
2駅先の東山駅近くの「音の花温泉」に遠征するのもおすすめ! 私も行ったことがあるのですが、めちゃくちゃ湯質のいい温泉です。山の中なのに(なぜか)海の幸を、お手ごろに楽しめます。

こんなすてきな宿を開いたのは、40代の仲良し姉妹。ふたりは学生時代、初めての海外旅行でタイを訪れ、ゲストハウスで現地の方と交流したことがとても楽しかったそうで、バックパッカーに。以来、ふたりして「いつかゲストハウスをやりたいね」と言い続けていたのだそう。
「そろそろ準備を始めなきゃと思っていたときに、この物件に出合ったんです」と姉の奈緒さん。
生駒市が取り組んでいる、貸したい人と借りたい人の想いをつなぐ「恋文不動産」という空き家マッチングプロジェクトを通じて、旧街道沿いに佇む築80年越えのこちらの物件を内覧し、惚れ込んだふたり。その後、まったくの未経験ながらプレゼン競争を勝ち抜き、みごと成約第一号に!
「以前から、すてきだなぁと思うお店があったら設計した人を調べていたんです。すると、どこも奥田達郎さんがしてはって、思い切ってご連絡したらお引き受けいただけたんです」と、大阪で暮らす妹の美緒さん。施工は古民家再生を手がけるご近所の宮村建築工房さんに、ロゴはokuru designさんに……とあれよあれよと話がまとまったというから、タイミングってあるんだなぁ!としみじみ思いました。

写真提供:natomi宿
ゲストハウスはおろか、飲食店で働いたこともなかったふたり。物件に出合ってから脱サラし、1年弱の修行と準備を経て念願のゲストハウスをオープンさせます。とはいえ、構想(妄想?)は20年以上。だからなのか、ふたりが願っていた通り、宿のゲストと地元の方の交流が生まれるあたたかな空間は、ずっとここにこうして存在していたかのような居心地のよさ。
東京から友だちが遊びに来るときにでも、私もこちらに泊まりたいと思っています!

