00年代の“リアノス”を体現する「らーめん3000」(駒込)
醤油らーめん前述の通り、2025年は、昔懐かしさを感じさせる「ノスタルジックラーメン(通称ノスラー)」への回帰が加速した。
ノスラーといえば、ちょっと前までは「こんな感じならノスタルジックだろう」という、半ば想像も入り交じった解像度低めのラーメンが多かったが、最近は“2000年代に流行した味わい”など、より本物のノスタルジー(リアルノス)にまで昇華していることが、大きな特徴だ。
さて、4/12に駒込の地で産声を上げた『らーめん3000』の「醤油らーめん」、「塩らーめん」は、そんな「リアルノス」を体現する1杯。
「味を足し算した結果、総合的に美味い」を地で行く味わいは、まさに00年代に一世を風靡した「各種素材の実験場」的なラーメンを彷彿とさせるものだ。鶏・豚・魚介の様々な部位を活用しながら丁寧に炊いたスープは、心持ち魚介が優勢。カエシの塩味をギリギリの際まで利かせ、複雑な出汁の素材感と睦まじく寄り添わせる。
塩らーめん「塩らーめん」は、「醤油らーめん」に、貝出汁がさらにオンされる。煮干し・鰹等の乾物の滋味とシジミ・貝柱等の貝出汁の風味が舌上でしのぎを削るダイナミックな味わい。鰹の節感を明快に打ち出し、塩カエシのビビッドなうま味を併せている点も、00年代に巷間を席巻していた「節ラーメン」のごとき懐古感を喚起させる。
また、打って変わって、「つけそば」が、現代的なギミックの粋を凝らしたものである点も趣深い。
つけそばもり蕎麦を彷彿させる「そばつゆ」と、シジミ・煮干し・昆布の滋味が冴えわたる「つけダレ」。2つの味がそれぞれの世界を築きながら、感性を心地良く刺激する。鰹節、シジミ、昆布。「和」の恵みに身体がほどける。すする度に、日本に生まれた喜びが湧き上がる。
2025年組の中でも、味の組み立ての巧さに定評がある『らーめん3000』。この設計思想を基点に、どこまで進化していくのか。変遷を追い続ける価値は大いにあるだろう。
●DATA
住:東京都豊島区駒込1-16-10 ルーブルビル 101号
営:9時〜14時(スープなくなり次第終了)
休:水曜
アクセス:JR山手線・駒込駅東口より徒歩4分
容姿端麗=絶対正義ではない。「札幌 六坊」(高田馬場)

次にご紹介するのが、2024年4月24日にオープンした『札幌 六坊』。渡なべスタイルの代表・渡辺樹庵氏が、『渡なべ』(西早稲田)、『神保町 可以』(神保町)、『六坊担担麺』(池袋)に続く、4店目として高田馬場に開業したお店。
同店が提供する麺メニューは、「札幌ブラック(札幌醤油ラーメン)」、「札幌塩ラーメン」、「札幌味噌ラーメン」の3種類。
券売機筆頭メニューは、「札幌ブラック」。胡椒・ニンニク・ラード等をフル活用し、ラーメンを常習的に食べていない一般人が完食可能な限界近くまでジャンクに仕上げてある。
札幌ブラック 味玉入り“純すみ系”の「醤油」でも富山ブラックでもない唯一無二の味わいで、もちろん、実食するに値する佳作だが、私のイチ押しは、「札幌塩ラーメン」。丼の縁近くまでなみなみと注がれたスープは、動物系素材のコクに満ちあふれ、カエシの味わいも好みド真ん中。
札幌塩ラーメン野菜の甘み、ラードの香味も、スープと完璧に噛み合い、箸を持つ手を動かすほどに体感的なうま味が指数関数的に増幅する。
ビジュアルは、最近の上位人気店の「塩」と較べれば、異質だと感じるほど荒々しい。だが、レンゲを差し込み箸を手繰れば、“容姿端麗”であることが必ずしも絶対正義であるとは限らないことが実感できるだろう。
2025年に誕生した新店の中で、私が「空恐ろしくなるほど美味い」と感じた、唯一の「塩」。綺麗な「塩」が隆盛を極めし今だからこそ、召し上がっていただきたい、目からウロコが落ちる1杯だ。
●DATA
住:東京都新宿区高田馬場1-4-18
営:11時〜21時
JR山手線ほか高田馬場駅より徒歩5分
