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実家なんて継がなきゃよかった…農家だった年金月8万円・72歳父の死後、「農地」を相続した45歳息子がげんなりしている理由【FPの助言】

実家なんて継がなきゃよかった…農家だった年金月8万円・72歳父の死後、「農地」を相続した45歳息子がげんなりしている理由【FPの助言】

農地相続で「地獄」をみないために

ファイナンシャルプランナーの視点からいえば、農地の相続は「最初の意思決定」が非常に重要です。特に、次の3点は必ず確認しておきたいところです。

1.農地の場所・地目・評価額を正確に把握する

固定資産税の評価額だけで判断するのは危険です。農地は宅地に比べて評価額が低く、税負担も軽く見えがちですが、売却の難しさや管理コストまで考慮すれば「実質的な負債」になることも。現地の市場価値もあわせて確認しておきましょう。

2.農地を相続するなら「耕作継続」か「転用・売却」か方針を決める

農地を相続したあと放置していると、農業委員会からの是正指導や行政代執行のリスクがあります。耕作継続なら第三者に貸す「利用権設定」などの選択肢もありますし、転用希望なら初期から行政と連携した手続きが不可欠です。

3.どうしても不要なら「相続放棄」や「寄付」も検討

相続前に土地の情報を把握していれば、「相続放棄」も視野に入れることができます。また、一部の自治体では条件付きで寄付を受け入れるケースもあります。事前に相談することで、無駄な費用や手間を回避できることがあります。

「家を継ぐ」という言葉の裏にある“経済的責任”

「土地を持っている=資産」という考えは、もはや時代遅れかもしれません。

農地や古い実家の相続は、思った以上に「持ち続けるコスト」が重くのしかかります。売れない、貸せない、使わない……。そのすべてが、やがて金銭的にも精神的にも負担となっていきます。

健太さんはいいます「父が必死に守ってきた土地を粗末にしたくはない。でも、なんの知識も覚悟もないまま引き継いだ自分の甘さを、正直後悔しています」。

農地の相続には、特有の制度と手続きがあります。そしてその一つひとつが、時間と労力とお金を要求してきます。だからこそ、親が健在なうちに「土地と相続」の話をしておくことが、家族の未来を守る第一歩です。

「農地を継ぐ」という選択を、後悔のない形にするために。相続は「もらう」ことではなく、「責任を引き受ける」こと。その現実を見据えた備えこそ、これからの時代には欠かせないのです。

波多 勇気

波多FP事務所

代表ファイナンシャルプランナー

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