【法律の視点】葬儀費用は「相続債務ではない」
次に、法律の考え方です。
多くの方が、「相続に関係するお金なのだから、相続人全員で負担するのが当然では?」と感じますが、法律上の扱いは少し異なります。
なぜ相続債務とされないのか。葬儀費用は、
●被相続人が亡くなった後に
●相続人(多くは喪主)が
●葬儀会社と契約し
●新たに発生した費用
という性質を持っています。
そのため、相続開始時点ですでに存在していた債務ではないとして、厳密には相続債務に当たらない、という考え方が有力です。ここが、葬儀費用トラブルの出発点になります。
葬儀費用は誰が負担するのか──4つの考え方
では結局、葬儀費用は誰が負担するのでしょうか。この点については、実務上、次の4つの考え方が整理されています。
①共同相続人が法定相続分に応じて負担する
②葬儀を主宰した喪主が負担する
③相続財産のなかから支出する
④地域の慣習や条理に従う
このうち、裁判例で最も多く採用されているのが②の「喪主負担説」です。つまり、葬儀費用で争いになり、裁判になった場合、喪主が負担すべきと判断される可能性が高いというのが、現実的な結論になります。
冒頭の事例で、長男の請求が通らなかったのも、この考え方が背景にあります。
