
『おくびょう鳥が歌うほうへ』
© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
2026年の“映画始め”は、ぜひ劇場のスクリーンで! 近々公開される新作映画から新年のスタートにふさわしい、“旅”を描いた作品を3本紹介します。いずれも主人公の心の旅に寄り添うような厳しくも温かな作品で、異国の風景を楽しむロードムービーとしての魅力もあり、大人の女性におすすめです。
スコットランド・オークニー諸島へ、依存症に悩む女性の“再生の旅”
『おくびょう鳥が歌うほうへ』
『おくびょう鳥が歌うほうへ』© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
『レディ・バード』『アンモナイトの目覚め』などで知られるシアーシャ・ローナンが、アルコール依存症から立ち直ろうとする女性の混濁した内面を圧巻の演技で表現した再生の物語。エイミー・リプトロットによるベストセラー回想録『THE OUTRUN』をノラ・フィングシャイト監督が映画化しました。
『おくびょう鳥が歌うほうへ』© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナは、大都会で自由と刺激を求めた挙句に自分を見失い、お酒に逃げ、数々のトラブルを引き起こし、恋人さえも傷つけ、身も心もボロボロになっていました。
ようやく悪い習慣から抜け出したロナは、故郷であるスコットランド・オークニー諸島へ戻り、美しくも厳しい自然のなかで自身と向き合います。時折、過去のつらい記憶に心を締め付けられながらも、少しずつゆっくりと、前へ進んでいくのでした。
『おくびょう鳥が歌うほうへ』© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
原作の著者自身が、オークニー諸島に戻って再出発をした体験がもとになっています。著者はそこで野鳥保護団体に勤務し、稀少種であるウズラクイナの鳴き声を聴き取る作業に従事し、孤独な時間のなかで自身を見つめ直したそうです。
著者がさまざまな髪の色で自己表現をしていたことから、映画のなかでもロナの髪色は、ブルー、毛先だけブルーのブロンドなど、心の状態と共に変化していきます。
『おくびょう鳥が歌うほうへ』© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
静かに内面と向き合う描写が続くゆえ、躍動的なラストシーンが強いインパクトを残します。ロナは自身の人生の指揮をとれるようになるのでしょうか。

『おくびょう鳥が歌うほうへ』
2024年製作
2026年1月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配給:東映ビデオ
© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.
東西文化が融合するイスタンブールへ、世代も文化も超えた心の触れ合い
『CROSSING 心の交差点』
『CROSSING 心の交差点』
© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB
ジョージアに暮らす元教師のリアは、行方のわからないトランスジェンダーの姪、テクラを探すため、テクラを知っているという青年アチとともにフェリーに乗ってトルコのイスタンブールへ向かいます。兄夫婦との抑圧的な生活から逃げ出したいアチは、この機会に便乗してイスタンブールで職を探そうと目論んだのでした。
『CROSSING 心の交差点』© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB
突然、旅を共にすることになったリアとアチは、はたから見れば母親と息子のようですが、急に親しくなるようなことはありません。その距離感がリアルです。それゆえ、いつも厳しい表情をしているリアがお酒に酔って楽しそうに踊り出す姿と、それを見たアチが少し驚いた後に見せる優しい表情が心に残ります。
『CROSSING 心の交差点』© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB
迷路のような街をいくらさまよっても、テクラは見つかりません。やがてリアとアチはトランスジェンダーの権利を守るために働く弁護士、エヴリムと出会い、協力を求めます。エヴリム自身もトランス女性で、差別と闘っているのでした。エヴリムが「性なき世界」という本の上に置かれた1枚のタロットカードに目を留めるシーンが描かれますが、その「聖杯の5」のカードが示す意味は、失意や失望です。LGBTQ+を取り巻く現状を訴えているように思えます。
『CROSSING 心の交差点』© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB
世代も文化も大きく異なる三人が出会い、互いの苦悩を少しずつ理解し、寄り添おうとする過程を温かな視点で描き出した本作。東西の文化と歴史が交錯するイスタンブールでのひとときを経て、それぞれがどのように変化し、歩みを進めていくのか、思いを馳せたくなります。

『CROSSING 心の交差点』
2024年製作
2026年1月9日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
配給:ミモザフィルムズ
© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB

