「喫茶店の翔子」は、体調がよくおしゃれになりました!

「翔子は昔から人を思いやる子で、寂しそうな人がいたら助けようとする子。そして接客が大好き。私も“喫茶店”という場所が若い頃から大好きでした。この街に暮らすというだけでなく、翔子が街の人たちの居場所をつくる――すごくいいじゃないですか。手伝ってくれるスタッフも、徒歩圏内に住んでいる50代以上の方ばかり。本当にこの街に翔子とみなさんの居場所ができたんです」
「メニューもみんなで考えてます!ぜひ、いらしてください!」
11時の開店に翔子さんは遅れたことがありません。お客さんは途切れることなく訪れ、ランチタイムの忙しさは目が回るほど。翔子さんは、スタッフたちと連携してオーダーを取り、ドリンクや食事を運び、洗い物や会計もこなします。
「翔子にとってよかったことが3つあるんです。私たちはこれまで講演会の依頼はなるべく断らなかったので、日本全国を飛び回っていて、毎日が強行軍でした。翔子は、みんなが喜ぶためなら何でもする子ですから、文句一つ言わない。
でも夜眠れなかったり太ってきたり、自律神経が乱れてしまっていたんですね。それが、喫茶店を始めてからは、すっかり生活が落ち着いて健康的になったんです。それにおしゃれになりました。
以前は、くすんだ色の服ばかり着ていたのですが、今は明るい色の洋服を着て、ネイルにも気を付けてます。3つ目は爪噛みの癖がなくなったこと。なかなかやめさせられなかったのですが、きれいになくなりました。これも翔子の気持ちが落ち着いたからですね」
こんなに幸せなことはない、と泰子さんは穏やかに笑います。
「翔子がダウン症だとわかったとき、私は絶望し、翔子より先には死ねない、と思い詰めました。それが二十歳で書家としてデビューして大成功をおさめ、今はこうして思うままにお客さまを喜ばせている――本当に神様には感謝しかありません」
東京・久が原駅からライラック通りを歩いてみてください。街に溶け込む翔子さんに会えますよ。
「アトリエ翔子」(1階:喫茶/2階:ギャラリー)

1階はランチメニューも充実したカフェスペース。一緒に働く仲間もこの街の住人たちです。一番左が相原さん。2階には翔子さんの作品が展示されています。
住所:東京都大田区久が原3‒37‒3
営業:11時~18時(日・祝日定休)
『お母様 大好き』

ハルメク刊/1320円
ひとり暮らしを始めるまでの翔子さんの軌跡をエッセーでたどった1冊です。ハルメク通販でお求めください。
取材・文=岡島文乃(ハルメク編集部)、撮影=中川真理子
※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年5月号を再編集しています。
※記事中の情報は、2025年4月現在のものです。

