いつまでも輝く女性に ranune
【江本孟紀】今の巨人には「若手のころの坂本のような選手」が必要だ。「根性」という言葉を肝に銘じるべき

【江本孟紀】今の巨人には「若手のころの坂本のような選手」が必要だ。「根性」という言葉を肝に銘じるべき

今の巨人にはどんな選手が必要なのか。それは、「四の五の言わず、自らに厳しい練習を課すことができる選手」である。

 巨人を計17年間率いた原辰徳から、こんな話を聞いたことがある。

※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。

坂本勇人
2007年の原辰徳と坂本勇人 ©産経新聞

◆若かりし坂本勇人を起用し続けたワケ

 2006年のドラフトで1位指名された坂本勇人だ。ルーキーイヤーはプロの体つきにはほど遠く、技術も未熟だった。だが、走攻守に光るものを感じた原は、1年目のシーズン終盤に一軍に呼んだ。そして、翌2008年シーズンからは、二岡に代わってショートのポジションを任せた。

 ただし、原からすると、当時の坂本はまだレギュラーを確約できるほどの実力を持っておらず、いわば見習い期間のようなものだった。打撃面においては、インコースのさばき方に目を見張るものがあったものの、まだ穴が多い状態。守備はいうと、一軍半レベルの未熟なものだった。

 そこで原は坂本とこんな約束をした。

「試合前にオレがノックを打つから、徹底的に守備練習をやろう。毎日準備して待っているから。疲れていても弱音を吐かず、必ずグラウンドに出てくるんだぞ」

 ただ、そうは言ってみたものの、シーズンが進むにつれ、坂本の身体には明らかに疲労が蓄積していた。次第にスイングが鈍り、なんでもないゴロをグラブからはじくなど、安定感に欠ける場面が徐々に増えていく。

◆晴れやかな表情を浮かべた坂本を見て「迷いはなくなった」

 このときの原は、迷っていた。 

「たしかによく頑張っていましたが、『もう無理だな』と思うことが、日を追うごとに増えていったんです。東京ドームで試合がある日、自宅を出て車で走っているとき、『ほかの選手をスタメンにしよう』と考えたのは、一度や二度ではありまぜん」 

 逡巡しながら監督室でユニフォームに着替えていると、「コンコン」とノックする音が聞こえる。ドアの開いた先には、練習用ユニフォームを身にまとい、グラブを持った坂本の姿があった。

「おはようございます! 今日もよろしくお願いします!」

 すがすがしい笑顔を浮かべた坂本からは、疲れたそぶりなどみじんも感じられない。

「ようし、わかった。すぐに行くから先にグラウンドに出て準備していなさい」

 原がこう返すと、坂本は晴れやかな表情を浮かべ、その場をあとにした。

「はつらつとしているうえ、目がギラギラしているんです。いわば野心がむき出しの姿を目にしてしまうと、迷いは一切なくなりました。『ようし、今日もスタメンで行くぞ』と。そんな毎日を積み重ねて、気づけばシーズンを終えていた。シーズン中は辛いことも多かったはずですが、1ミリも表情に出さなかった。ドラフト1位で入団したことにあぐらをかかず、たゆまぬ努力を続けていた彼の心の強さは、今振り返っても見上げたものがあったと感心しています」

 原は笑顔で当時の様子を振り返っていた。


配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ