◆先輩・寺尾聰とは今でも1年に1度は電話を

石井:寺尾聰さんと学園もの(2016年の日曜劇場『仰げば尊し』)でご一緒したとき、お話する機会がたくさんありました。寺尾さんも音楽をされていましたが、私にも「音楽はやり続けなさい」とお話してくださいました。「俳優としてやっていくにも、音楽のリズム感を持っている人のお芝居は、佇まいも含めて、またちょっと違うんだよ。それが武器になる」と。そのことは忘れないようにしています。
——たくさんの生徒役の方がいたと思いますが、石井さん個人をきちんと見てアドバイスしてくださったんですね。
石井:はい。それから、クランクインの日には生徒役のみんなを前に、「自分とみんなとは年齢も芸歴も違うけれど、そういったことはエンドロールに記載されない。みんなの名前が連なっているだけ。ここから、“よーい、ドン”だぞ」とお話されました。尊敬する先輩が、同じ土俵で対等に戦ってくださっているのを痛感して、そのマインドは絶対に一生忘れないようにしようと思いながらやっています。
——寺尾さんのことは、これまでにも幾人もの若い俳優さんから、影響を受けたとお話を聞いたことがあります。
石井:寺尾さんは、「よーい、スタート」のギリギリまで、ひとりひとりのことを考えて、ずっとお話して、いろんなことを伝えてくれるんです。今でも年に1回くらい電話しています。
——そうなんですか!?
石井:はい。そうしたときにも「杏奈の道は間違ってないよ。間違っているときは、すぐに言うから」と言ってくださって。本当に私の先生です。
◆大ファンだったスピッツの楽曲「楓」原案の映画に出演
——さて、最新出演作の映画『楓』は、スピッツの同名曲から生まれたラブストーリーですね。石井:スピッツさんのことは大好きで、「楓」もずっと自分のプレイリストに入っていました。それくらい好きだったので、その楽曲が原案になった映画が作られるとは!という衝撃と、そこに自分が出られるということで、本当にうれしい気持ちでした。
——もともと楽曲のファンという目線から、今回の物語を前にした印象を教えてください。
石井:曲をより理解できました。こういう意味もあったかもしれないと。優しい嘘があったり、健気な愛があったり。深みのある物語だなと。「楓」の聴き方も変わり、すごく前向きに聴けるようになりました。

