社会人2年目でなくても手取りが減る時期とその理由

➀住民税決定通知書が来る6月
前述のように、住民税は、前年分の収入をもとに計算され6月~翌年5月に納めますが、そもそも住民税の金額はいつ分かるのでしょうか。それは、毎年6月になると職場から受け取る「住民税決定通知書」で確認できます。そこには、前年の収入やそれをもとに計算された住民税について記されています。住民税は、前述した住民税(所得割)の税率10%以外に、実際は、均等割という自治体により年間5000円~7000円程度の負担がありそれも確認することができます。
先ほど、社会人2年目になると住民税の支払いが始まるので1年目より手取りが減ると紹介しましたが、2年目以降も住民税の影響で手取りが減る場合があります。
たとえば、社会人3年目です。
3年目は住民税の負担がさらに増え手取りが減ります。理由は、勤務している月数に違いがあることからです。社会人2年目に納める住民税は、社会人1年目の収入4月~12月の9カ月間に受け取る給与等がもとになりますが、社会人3年目に納める住民税は、社会人2年目の収入1月~12月の12カ月間に受け取る給与等がもとになるため、当然に年収が増えることから住民税も高くなるのです。
他には、役職が上がり収入がアップした翌年の住民税も増えます。
役職が上がったばかりの年は支給額が増え手取りが増えますが、翌年に1年遅れで増えた収入に対して住民税を納めることになるため、その分、使える金額は減ってしまいます。
反対に、役職定年などで給与が下がった場合は要注意です。
そもそも給与が下がったのだから、生活に使えるお金は減るのですが、住民税は、前年の高い収入をもとに計算された金額を納めるため、さらに手取りは減ってしまいダブルパンチを受けてしまいます。
3~5月は残業しない方がよいといわれるワケは
また、毎月の手取りは、住民税だけでなく厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料の影響も受けます。
社会保険料は、住民税のように1年単位で計算して納めるのではなく、毎月の給与額をもとに計算します。社会保険料は所得全体で14%強の負担となりますが、従業員ごとに社会保険料を計算すると、毎月、莫大な事務量となってしまうため、毎年4月~6月の給与をもとに標準報酬月額という大きく分けた等級に振り分け、毎月、一定の社会保険料を納めるようになっています。
もう少し具体的に説明します。この標準報酬月額は、給与が19.5万円から21万円の人は一律20万円、25万円から27万円の人は一律26万円で計算するという風に切り良くまとめられます。4月~6月の給与をもとに決定し、その標準報酬月額で10月から翌年9月までの1年は、厚生年金保険料や健康保険料が計算され天引きされます。
筆者が、ある企業で従業員研修を担ったときのことです。資産運用や税金などへの関心が高い従業員さんが多いと感じる企業でした。ちょうど春先に訪問したからか、3月~5月はできるだけ残業をしないよう気を付けているという話を耳にしました。これは、1年の標準報酬額が決まる4月~6月の給与額を抑えて、社会保険料の負担が増えないようにするためです。ただ、ある部署の従業員さんは3月~5月が繁忙期なのでどうしても残業代が増えてしまう、他の部署がうらやましいと笑いながら愚痴をこぼしていました。
このように、社会保険料は4月~6月に支給される給与をもとに標準報酬月額が決定し、10月からの社会保険料が決まるため、3月~5月の働き方によっては、負担が増え給与の手取りがこれまでより減る可能性があるというわけです。
標準報酬月額(福岡県)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r2/ippan_3/r20940fukuoka.pdf
➂その他影響するところはある?
他にも手取りに影響することがいくつかあります。
健康保険料の影響
前述の社会保険料のうち健康保険料の負担割合です。健康保険の種類は企業によって異なりますが、保険料率が引き上げられると支払額が増え手取りに影響します。特に大企業が運営している健康保険組合は、高齢化の影響を強く受け負担が大きく増えているようです。せっかく給与がアップしてもそのことで手取りが殆ど増えていないなどもあり、経済を活性化させるという観点からも問題視されています。
所得税の影響
また、手取りには所得税の影響も受けます。たとえば、配偶者の収入が一定以下のときに受けられる配偶者控除は、本人の合計所得が900万円を超えると満額の38万円から26万円に減額され所得税の負担が増えます。さらに950万円を超えると控除は13万円になり、1000万円を超えると配偶者控除は受けられなくなります。これまで所得基準内にぎりぎりおさまっていたのに今年は少し超えてしまったという場合は手取り減を感じるかもしれません。
扶養控除の影響
扶養控除も同様です。子供は16歳になると扶養控除の対象となり63万円控除が受けられるようになりますが、その子供が社会人になり、働くようになると扶養控除が受けられなくなるため手取りはまた減ってしまいます。
このように、給与の手取りは税金や社会保険料の影響を受け変化していくのです。
給料と手取りについてまとめ
今回は、社会人2年目に手取りが減るということを中心に見てきました。簡単にまとめます。
- 住民税は1年遅れで納める後払いの税金である
- 前年の収入をもとに6月から翌年5月に天引きされる
- つまり、社会人2年目は1年目より手取りが減る
- 社会保険料の金額は、3月~5月の収入の影響を受ける
- 所得税等の控除や社会保険料率によっても手取りがかわる
社会人2年目は仕事に少し慣れてきて、この春、新しく後輩を迎える時期でもあります。
コロナ禍で誰も経験したことのない社会人生活を送った2年目の皆さん、後輩の気持ちを一番分かるのもあなた方です。仕事もですが、マネー知識の面でもぜひサポートしてあげてください。
