介護施設に入居し、ひと安心したのもつかの間、50代主婦・まいこさんを襲ったのは、消えない罪悪感と新たな負担でした。第3話では、施設入居後に見えてきた介護の現実、空き家になった実家の管理、そして「終わらない介護」の正体を綴ります。
やっと介護施設に入居したものの……
入居を決めた介護施設は実家と自宅の中間地点。その施設を利用していたママ友の「おばあちゃんが利用していてよかったよ」の口コミが決め手になりました。
たくさんの施設を見学していた経験から、その施設が安心できるとすぐ決められました。
入居手続きに必要な健康診断書や通帳のコピーを整え、入居まで約2週間。荷物をまとめ、約3時間の重要事項説明を終え、母は新しい生活を始めました。
やっとやっとここまで来た。その夜。 私は初めて、枕元の携帯の音を切って眠りました。
“介護のゴール”に、ようやくたどり着いた——そのときは、そう思っていました。
……しかし
入居は介護のゴールではありませんでした。私は思いもよらぬ感情と現実に向き合うことになるのです。
入居してわかった介護施設のリアルと心境の変化
母が入ったのは、60人規模の有料老人ホーム。
スタッフの方々は優しく丁寧で、私自身とても安心していました。けれども、通ううちに気になる点がいくつか出てきました。
食事のたびにできるエレベーターの渋滞
4階建ての建物の食堂が1階。食事のたびに全階の入居者が一斉に移動します。車いすの方や歩行が不安定な方も多く、エレベーター前は常に混雑。施設の動線が気になりました。
“居室のトイレ”という落とし穴
入居前は居室内にトイレがあった方がいいと思っていました。でも実際には、居室内で介護が完結してしまい、スタッフや他の入居者との関わりが減り、一人で過ごす時間が増えていきました。
周辺環境まで目が届いていなかった
静かな環境を優先したものの散歩には物足りなさを感じました。ちょっと寄れるお店がある方が主婦の母には楽しいのではないか。入居前はお散歩のことまで考えていませんでした。
私の望んでいた介護のゴールはここだろうか?――そんな迷いが芽生えました。

