「私、母を捨てた……」罪悪感に襲われて
介護施設の入居で肩の荷が下りた……。そう思えたのは本当に最初だけでした。
主婦として家を守り大切に暮らしていた母が8畳ほどの個室で残りの人生を過ごす――。
「私、親を捨てた」そんな感情が心を渦巻き面会のたびに「ごめんね」を口にしてしまう。自分でも思いもよらなかった感情に戸惑っていました。
そして、もう一つの問題が生まれました。実家が空き家になったのです。
空き家になった実家の管理も、介護の一部だった
入居に気を取られ実家が“空き家”になることをあまり考えていませんでした。
介護施設入居後、まず手をつけたのは実家の冷蔵庫を空にすることでした。介護ベッドも返却。
少しずつ片付けようと思うものの、ゴミ出しが思った以上に負担になります。ゴミ出しの曜日に合わせて実家へ通う必要があること。
そして、「もしかしたら、母が元気なときに家に帰れるかもしれない」——そんな期待が、物を捨てる決断を鈍らせていました。
実家が空き家になると、やるべきことは意外と多くあります。
郵便物の転送、電気・水道・ガスの契約見直し、定期的な換気や通水、雑草や庭木の管理——。
空き家管理は想像以上に手間がかかり、「母は施設に入ったはずなのに、どうして私はまだこんなに介護に時間を取られているのだろう」と、次第に違和感を覚えるようになりました。
「なぜ私はまだ、こんなに“介護”に追われているんだろう……?」施設入居後も、私の生活は思っていたほど変わっていませんでした。
施設へ預けたことへの罪悪感と、空き家になった実家の管理。介護は形を変えただけで、私は毎日、母のことで頭がいっぱいになっていました。
——介護は、本当に終わったのだろうか。
▶次回は、新しい選択肢の中で、母が穏やかに過ごし、悔いなく看取るまでの日々を綴ります。

