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米アップルCEOに「2026年退任説」が浮上中。AIでの劣勢挽回には“ジョブズ的リーダー”が必要なのか

米アップルCEOに「2026年退任説」が浮上中。AIでの劣勢挽回には“ジョブズ的リーダー”が必要なのか

◆■ジョブズとクックは同じCEOでも別の仕事をしていた

この議論を理解するには、ジョブズとティム・クックを「どちらが上か」で比べないことが重要だと思う。

ジョブズは、明確にファウンダー(創業者)だった。iPhoneやMacのように、世界にまだ存在しない体験を形にし、「それが欲しい」と思わせることが仕事だった。

一方、ティム・クックはオペレーター(運営者)だ。サプライチェーンを徹底的に最適化し、品質と利益率を安定させ、巨大な組織を壊さずに回し続けた。

ジョブズは「何を作るか」を決めた人。クックは「それをどう拡大していくか」を極めた人。

どちらも不可欠だった。ただ役割が違った。

この話はマイクロソフトの歴史を引き合いに出すとさらに理解を深められると思う。

ビル・ゲイツはマイクロソフトを創業して一世を風靡した。その時点では「WindowsとOfficeを押さえれば世界を制する」という明確な勝ち筋を持っていた。

だが2010年前後、状況が変わる。スマートフォンでは後れを取り、クラウドでも他社に先行された。

社内では「Windowsを中心にすべきか」で部署同士が対立し、「自分の部署が勝てばいい」という空気が強まり、会社全体としてどこへ向かうのかが見えなくなった。これが、マイクロソフトの“低迷”の正体だったと言われている。

そこでCEOになったのが、サティヤ・ナデラだ。彼が最初にやったのは、派手な新製品を出すことではない。社内の空気を変えることだった。

他部署を蹴落とす評価制度を見直し、新しい分野への学び・挑戦を奨励してWindows以外のプラットフォームも積極的に支援する。

その結果、Azure(クラウド)やAIに自然とリソースが集まり、マイクロソフトは再び成長軌道に乗る。直近で話したナデラがChatGPTを手がかけるOpen AIに積極投資をして密なパートナーシップを築いている点は全世界から注目を集めている。

ナデラは天才発明家ではない。だが、次の時代に向けて会社の「役割」を切り替えた人だった。ここにもファウンダーであるビル・ゲイツとの役割の違いがクリアに分かる。

◆■「ジョブズ=織田信長?」「クック=豊臣秀吉?」

この「リーダーとしての役割の違い」は日本史で考えるとさらにわかりやすいかもしれない。みんなが知っている、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という「戦国3英傑」の違いだ。

織田信長は古い慣習を嫌い、楽市楽座や鉄砲を導入し、「今までのやり方」を次々に壊した革命家だった。

対して豊臣秀吉は信長の遺産を使い、人たらしの能力で武将をまとめ、全国統一を一気に押し進めた調整役・実行役だった。

続く徳川家康は派手なことはしないが、法と制度を整え、260年続く江戸幕府という「続く仕組み」を作った。

3人とも偉大だが、やった仕事はまったく違う。そして順番も重要だったことは言うまでもないだろう。

まるで革命家の織田信長はスティーブ・ジョブズ、鮮やかな調整役の豊臣秀吉はティム・クック、仕組み作りの徳川家康はサティヤ・ナデラのようだ。

歴史に名を残すような仕事をしている偉人はその卓越した能力だけでなく「時代に求められていること」に徹しているように見える。この点は強調してもしきれない。


配信元: 日刊SPA!

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