男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:結婚12年、突然、離婚宣言してきた妻。娘は私学に通い、お金に余裕もあったのになぜ?
それは、友人たちと一泊二日で河口湖に行った帰り道のことだった。僕の友人夫婦が車に乗せてくれたので、家の前まで送ってもらった僕たち。
お礼を言って別れた途端に、隣を見てギョッとしてしまった。
彼女の奈緒が、鬼の形相でこちらを睨んでいたからだ。
「ひっ…」
思わずそう叫ぶと、さらに睨まれた。
「圭太ってさ、本当に周りのこと考えないよね」
「ん?どういうこと?」
「今回の旅行で、ちょっと私たちの関係を考え直したいんだけど」
「え?なんで?」
楽しかったはずの一泊二日の旅行。さっきまで、奈緒もニコニコしていた。
それなのに急に態度が変わり、そして二人の関係まで見直すなんて、意味不明だ。
「どうしたの?なんで?」
「ほら、その理由すらわからないんでしょ?」
そう言われても、困ってしまう。奈緒は何に対して怒っていて、どうして急にこんなことを言い出したのだろうか…。
Q1:女が一泊二日で感じていたことは?
今回の旅行が決まったのは、急だった。しかし奈緒に話すと、本人も「行く」と言っていたのは間違いない。
「みんなで河口湖へ行こうって話していてさ。急なんだけど、奈緒の今週末の予定は、どんな感じ?碧夫婦ともう一組、優太とその彼女が来るよ」
「そうなんだ。空いてるよ」
「良かった!じゃあせっかくだし一緒に行こうよ」
奈緒とは、別の友人の紹介で出会って、交際を始めた僕たち。僕より3歳年上で、しっかりしている奈緒。でもどこか天然な部分もあり、そのギャップが僕はとても好きだ。
交際して4ヶ月、まだ学生時代からの親友たちに紹介できていなかったし、ちょうど良いタイミングだと思った。
「でも私、人見知りだしな…大丈夫かな」
「大丈夫だよ!みんないい奴だし。優太の彼女は会ったことないけど、碧の奥さんもいい人だし。きっと仲良くなれるよ」
「そうかな…じゃあ行く」
奈緒は自分では「人見知り」と言っているけれど、そう感じたことは一度もない。
むしろ社交的で、どんな場へ連れて行っても恥ずかしくないような、明るくて素晴らしい女性だ。だから、自慢の彼女として、みんなにも紹介したいと思った。
「ついでに、みんなにも会わせたかったから良かった」
「学生時代からの仲良し三人組だよね?ようやく会えるの楽しみだな〜。どういう所に泊まるの?」
「碧が、大きなペンションを予約してくれているみたいで。三部屋あって、それぞれで泊まる感じかな」
そして一週間後。楽しい旅行が始まった。
車を持っていない僕と奈緒は、碧夫婦がピックアップしてくれるというので、お言葉に甘えた。家の下まで迎えに来てくれた碧夫婦に、まずは奈緒を紹介する。
「碧、ありがとう。こちら奈緒です」
「初めまして、奈緒です」
すると碧夫婦もにこやかに迎え入れてくれた。
「お〜遂に。お噂はかねがね。碧です。こちらは妻の里穂です」
「よろしくお願いします」
一通り軽い挨拶を終え、僕たちは車に乗り込んで河口湖を目指す。その車内も、和気あいあいと盛り上がっていた。
「じゃあ圭太くんと奈緒さんは、奈緒さんのほうが少し年上ってこと?」
「そうなんですよ。3歳だけですけど。里穂さんたちはどんな感じなんですか?」
「私は碧くんの3歳下だから、奈緒さんとは6歳差だ」
「そんなに差があります?なんか緊張するな…」
「ウケる。せっかくだし、今回は気楽にいきましょうよ」
碧の妻の里穂さんと奈緒で、何やら楽しそうに女子トークをしている。そんな会話を聞いているうちに、僕は車の揺れが心地よくて、つい寝てしまっていた。
だから気がついた時には、もう河口湖に着いていた。
「え!やば!もう着いたの?」
そう言いながら慌てて起きると、隣の奈緒に少しこづかれた。
「人の車で、そんな寝る?碧さん、ずっと運転してくれていたよ?」
「はは、悪い悪い。まぁ碧だから大丈夫」
「そういうものなのかな」
もちろん、碧は気にしていない。なぜなら、僕が車に乗ると眠くなるのを知っているからだ。
とりあえず到着し、チェックインを済ませて部屋でゴロゴロしていると現地集合だった優太と彼女のゆなちゃんも到着した。
「よし、これで全員揃ったね」
こうしてみんなで買い出しへ行き、夕方から飲み始め、夜は星を見ながらBBQをする…と、なんとも楽しい旅行が始まった。
Q2:女が解散後、ブチギレた理由は?
BBQの用意はほぼ女性陣がしてくれたので、正直、男性陣はそれを見ながら…いや、見もせずに隣で飲んでいた。
すると奈緒が、急にこっちにやってきた。
「奈緒、どうしたの?」
「いや、優太くんの彼女と里穂さんで楽しそうにしているから、なんか居場所がなくて」
「そうなの?でもさ、二人が動いているなら奈緒も手伝いなよ」
そう小声で囁くと、奈緒もゴニョゴニョと言ってくる。
「『何か手伝いますか?』って言ってはいるんだけど、特にないらしくて…」
「いや、それは自分でやることを探しなよ」
他の二人の奥さんと彼女は料理をしてくれているのに、奈緒だけ何もしていないのは若干気まずい。
そう思っていると、碧が気を使い始めた。
「まぁ、二人に任せておいたらいいんじゃないですか?奈緒さんも一緒に飲みましょうよ」
碧の気遣いは嬉しいけれど、僕としては面目が丸潰れだ。男のエゴで申し訳ないけれど、こういう時に、普段の奈緒がしてくれている、いい女感を出してほしい。
「いやいや、奈緒は何もできないんだから、せめて邪魔だけはするなって。あっちへ行って、二人の手伝いするとか、何かしてきなよ」
「わかった…」
とりあえず友達二人にも「ごめんね、気が利かなくて」と謝っていると、美味しそうな材料やってきて、僕たちは楽しくBBQを始めた。
肉を焼くのは当然男性陣の仕事だったが、みんなでわいわいと食べるBBQは美味しく、そして楽しかった。
「ウマっ。お二人、料理上手ですね」
里穂さんとゆなちゃんに僕は声をかける。こういう場では、友達の彼女や奥さんは褒めるに限る。
「いやいや。奈緒さんだって、普段料理するでしょ?」
「するけど…いや、里穂さんさすがですよ。奈緒は料理はできるけど、掃除とかがダメダメで」
「そうなの?」
「奈緒はああ見えて、抜けてるんですよ」
別にここで、身内を立てる必要はない。そう思っていると、奈緒もちゃんと二人を持ち上げてくれた。
「そうなんですよ〜。なので今日、全部やっていただき助かりました。ありがとうございます」
こうして楽しく夜は更けていった。
翌朝もみんなで朝ご飯を食べ、優太カップルはそのまま二人で。僕たちはまた、行きと同じく碧の車で帰ることになった。
奈緒は行きよりもすっかり打ち解けた里穂さんとLINEの交換もしていたし、僕としては楽しい思い出だけが残った。
しかし車を降りたら一転、奈緒は急に怒り始めた。
― あんなにも楽しそうにしてたじゃん…。
彼女の豹変っぷりを、僕は理解できずにいる。
▶前回:結婚12年、突然、離婚宣言してきた妻。娘は私学に通い、お金に余裕もあったのになぜ?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女が旅行中に思ったことは?

