とりわけインパクトが大きかったのが、サッポロホールディングスが虎の子の不動産事業売却を決定したこと。3300億円という巨額の利益が見込まれる一方、中期的な苦戦も予想されます。

◆安定した収益基盤を構築するために…
サッポロホールディングスの不動産事業は、サッポロ不動産株式会社を中核企業とし、「恵比寿ガーデンプレイス」「サッポロファクトリー」など、複合施設や商業施設、オフィスビルなどの開発、運営を行ってきました。2024年7月にアクティビストファンドの3Dインベストメントが、サッポロ不動産開発をスピンオフすることなどを提案。物言う株主との対立が鮮明になりました。3Dインベストメントは2024年1月にサッポロの筆頭株主になっています。
3Dインベストメントといえば、富士ソフトを巡るアメリカの投資ファンドKKRとベインキャピタルの激しい争奪戦のトリガーを引いたやり手のアクティビスト。西武ホールディングスが、赤坂プリンスホテル跡地に建設した「東京ガーデンテラス紀尾井町」を売却するきっかけを作ったとも言われています。
3Dインベストメントはサッポロの主力である酒類事業の業績不振を不動産事業がカバーしていると批判。不動産事業を切り離すべきだと訴えました。
◆いかんともしがたい海外事業の不調
サッポロの酒類事業の不調の要因は主に海外。2025年度の海外酒類事業の売上収益予想を、当初の950億円から865億円に85億円下方修正。4億円としていた事業利益はゼロへと引き下げています。海外事業の不調は以前から表面化していました。2023年12月期にアンカー・ブリューイング・カンパニーを解散。60億円の損失を計上しました。アンカー・ブリューイングは2017年に全株を取得した会社で、「アンカースチームビール」というクラフトビールをアメリカで販売していました。
2024年12月期にはストーン・ブリューイングののれんの減損損失139億円を計上。ストーン・ブリューイングは2022年6月に買収したばかりのクラフトビールメーカーでした。
3Dインベストメントは短期間でストーン・ブリューイングののれんの減損損失を計上していることを特に問題視し、公開質問状を送付。資本規律を欠いていると、経営陣の責任を厳しく追及しました。

