◆キリンの事例が示す「一寸先は闇」
一方で海外企業の買収は何が起こるかわかりません。そのリスクが露呈したのがキリンホールディングスによるミャンマーのビール会社ミャンマー・ブルワリーの買収でした。キリンは2015年に同社を700億円ほどで取得。しかし、2022年に撤退を宣言しました。
ミャンマーは2010年代に市場開放が進み、「アジアで最後のフロンティア」などと呼ばれるようになりました。急速な経済成長が見込まれていたのです。キリンが投資を決めたのはちょうどそのタイミングでした。
しかし、2021年にクーデターが起こると、実質的な指導者だったアウンサンスーチー氏が拘束され、再び政情不安へと陥りました。
キリンは2011年にも買収したブラジルの大手ビール会社が創業家間の権力闘争に巻き込まれるという不運にも見舞われていました。
ビール会社の買収は伸びしろのある新興国で活発に行われますが、それだけに事業以外の要因で会経営が不安定になりやすいのです。
海外企業の買収で失敗しているのはサッポロも同じ。しかし、巨額資金を手にした今、大型のM&Aが視野に入ります。次は決して失敗できません。その手腕が問われます。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

