◆■マルサは不正計算の裏付けがないと調査できない

マルサは内偵の結果、「タマリ」と呼ばれる不正計算の裏付け(過少申告した利益に対応する預金、有価証券、不動産など)があった案件しか調査できない。
つまり、答えがわかっている案件しか調査できないのである。タマリがない状態で裁判をして、実は損金になるものが漏れていました、となると公判が維持できない。
起訴する案件は不正計算が一定規模以上であることが要件なので、後出しで損金となる証拠を差し引いたら一定規模未満になりましたという事案ではダメなのだ。検察官が受けない案件は、告発できないのである。
タマリがあれば、不正利益の裏付けがとれる。売上除外をしました、預金が同額あります、だから脱税したのは間違いありません、と。
◆■証拠がなくても動けるコメ
一方、納税者にとってコメが怖いのは、脱税の確実な証拠がなくても調査に着手する点だ。各種マスコミなどの蓄積データ、申告データから「これはクサい」と思う案件を探し出して調査。無予告、つまり事前通告をせずにターゲットの会社や店舗などに踏み込むのだ。
加えて、能力やマンパワーの不足で税務署職員だけでは調査するのが困難な案件にも、果敢に挑む。コメのターゲットの特徴として、「大口」「悪質」「宗教」「政治家」「国際取引」「富裕層」といったキーワードが挙げられる。
コメは任意調査の最後の砦、いやマルサが手を出せない案件まで扱うことからいえば、税務調査の最後の砦ともいえる。したがって資料調査課は少数精鋭で、配属される職員には高い調査能力が求められる。
任意調査というと、踏み込まれた側は調査を拒否することもできそうだが、それは考えが甘い。ここでいう強制と任意の言葉の使い方は、あまり正確ではない。
マルサの「強制」は、国税通則法(旧国税犯則取締法)という法律に基づいて裁判所から令状を取るという後ろ盾があることによるが、コメは令状がなくても調査が可能。
しかも「任意調査」は強制調査に対する対義語なだけで、法律上は、納税者には質問に答えたり調査に応じなければならない受忍義務がある。

