周りの人と対話し、「苦労のルーツ」を考える

先日、4~5人の仲間に連れられてやって来た若者がいました。その若者は「自分が抱いている不安が人にうつって、世界中の人を不安にしている。このままでは世界を破滅させてしまうから、自分は生きていない方がいい」、そして「そんな自分に圧力をかける悪の組織が世界にはびこっていて、通行人が嫌がらせをしてくる」と訴えました。
私はその若者を連れてきた仲間に、この「苦労のルーツ」について尋ねていきました。若者の家族のことや仕事のこと、勉強のことなどいろいろな話を聞ました。するとだんだんと、家族との間にある苦労を今に引きずっていることがわかってきました。この対話を通して、仲間たちは、その若者の苦労の出どころは「家族にあるのでは?」という結論に至りました。
最後に再び本人にも苦労の出どころがどこにあると思うか尋ねると、「自分は、悪の組織に苦しめられていたのではなく、家族で苦労していたのかもしれない」と言って、みんなと同じ答えになったのでした。
日頃から近くにいる人と話ができていたら、もっと早い段階でこのことに気付くことができたかもしれません。一人で悩みを抱えて「世界の中で一人ぼっち」と思っていた人でも、周りの人と対話をしてみると意外と意見が一致するものなのです。彼らは最後に、みんなで握手をしていました。
弱さと弱さが束ねられ、本当の強さが生まれる

一人一人が自分の抱えている「弱さ」を恥じることなく寄せ合ったとき、人はつながり、共に助け合えます。
昨今は「強さ」が着目されがちです。自分たちの持っている強さを共有して、強めていくことで問題解決を試みることが多い。でも、純粋な強さなんてありません。強さは糸のようなもので、一本一本は繊細ですぐに切れてしまいますが、まとめることで強くなります。
本当の強さとは、弱さと弱さが束ねられたときにこそ、生まれるものだと思っています。

