いつまでも輝く女性に ranune
「地獄の2時間でした」新幹線で“ハズレ席”を引いた24歳男性の悲劇。特大スーツケースのせいで乗客が口論に…

「地獄の2時間でした」新幹線で“ハズレ席”を引いた24歳男性の悲劇。特大スーツケースのせいで乗客が口論に…

◆前席の乗客と一触即発状態

 のぞみは速度を増し、名古屋を過ぎようとしていました。周囲の乗客が仕事の資料に目を通したり、仮眠を取ったりしている中、ただ一人、木内さんだけが“隣の騒音と圧迫”に耐えながら東京へ向かっていました。

 そして、その騒動の火種は、思わぬ方向へと転がっていきました。

「男性の前に座っている乗客が、ゆっくりとリクライニングを倒そうとしたんです。最初は普通の動作でした。でも……」

 何度試しても、倒れない。ほんの数センチ倒れた程度で“ゴン”と引っかかる感触があったようです。理由は明白でした。そう、あの巨大スーツケースです。高さも厚みもあるケースは、前席の背面に完全に接触し、リクライニングを阻んでいたのです。

「前の方が何度かトライしていたのですが、全然倒れないんです。しまいには小さく舌打ちが聞こえました」

 男性はイライラした様子で何度も振り返り、状況を確認していました。しかし、当のスーツケース所有者はというと――。

「いびきをかいて熟睡してたんですよ。イヤホンの音漏れを響かせたまま」

 そのコントラストが、前席の乗客の怒りに一層火をつけたかもしれません。木内さんは、嫌な予感を抱きはじめていたといいます。

◆天罰がくだり、静けさが戻る

 やがて前席の乗客は、ついに堪忍袋の緒が切れたようでした。深呼吸を一つしたかと思えば、座席に体を預け、全体重をかけてリクライニングを“グッ”と倒しにいったのです。

 その瞬間――。

「ベリッ!」

 新幹線車内に、何とも言えない異音が響きました。見ると、スーツケースの側面が無残に凹み、形が明らかに変形していました。安物の樹脂ケースだったこともあり、耐えきれずへこんだのでしょう。

スーツケース
「その音で、隣の男性も飛び起きましてね。『なんや!』って怒鳴り声を上げたんです」

 男性は凹んだスーツケースを見て激怒。「おい! 何してくれとんねん!」と、前席の乗客に詰め寄ります。一方、前席の乗客も負けていません。

「そっちが非常識だろ! 足元にこんなもん置くなよ!」

 言い争いは瞬く間にヒートアップし、ついには互いに腕を掴む形となり、ほぼ小競り合いに発展。周囲の乗客が息をのむ中、木内さんはただ呆然とするしかなかったといいます。

「“やっぱり起こったか……”という気持ちでした。僕は完全に巻き込まれたくなかったので、ただ固まってました」

 ほどなくして、周囲の乗客から車掌に通報が入り、数分後、青ざめた表情の車掌が駆けつけました。

「お客様、まず落ち着いてください!」

 双方の言い分を聞き取った車掌は、静かに二人を別車両へと誘導。喧嘩の拡大を避けるための措置だったようです。そして ――。

「その後、隣の席は完全に空席になったんです。ようやく、やっと静かになりました」

 長い戦いが終わった瞬間でした。

<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
配信元: 日刊SPA!

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