◆中受ラプソディが描くのは育児の外注化による歪な家庭像
![心を病む[タワマン・キッズ]の肖像](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2026/1/1768004252796_t37da3t3fz.jpg?maxwidth=800)
「タワマン密集地では、中学受験率が生徒の5割を超える小学校もあり、塾のランクや志望校による子供同士のマウント合戦が日常化。下位クラスを馬鹿にする言葉の暴力が不登校を誘発し、家でのストレスを学校で爆発させる子や、学校の授業を軽視して荒らす子が後を絶たない」
プロ家庭教師の西村則康氏も、タワマンに住む高所得層の育児について、ある顕著な傾向を指摘する。
「幼稚園の年長あたりから週7日の習い事は当たり前。中学受験塾の最高峰であるSAPIXの授業さえ『復習』にするための早期詰め込み教育が横行しています。親たちが口にするのは『コスパ』や『PDCA』といったビジネス用語ばかり。育児をビジネスのように外注し、最適化すべきプロジェクトと考えている人も少なくありません」
教育の外注化が進んだ結果、本来の「親子のつながり」が希薄になり、先に述べたタワマンの閉鎖性も相まって、少なからぬタワマン・キッズが苦悩しているのだ。
◆「娘がトー横で補導」…わかりにくい非行が横行
家にも学校にも居場所のないタワマン・キッズの中には、自由を求めて夜の街へと漂流する児童もいる。新宿・歌舞伎町、通称「トー横」。深夜の喧騒の中に、彼女はいた。美月さん(仮名・12歳)だ。「家は中央区にあるタワマンの高層階です。けど、パパもママも仕事でほとんど家にいない。テーブルにお金が置いてあって『これで何か食べて勉強してなさい』って。家も学校も嫌い。ここが一番ラク」
美月さんはその後、深夜徘徊で警察に補導され、現在は児童相談所に一時保護されているという。前出の東京高校受験主義氏は、この歪んだ状況を俯瞰してこう語る。
「今の非行は、かつての“窓ガラスを割って回る”ようなわかりやすい形ではありません。表面的には『おとなしい子』に見えても、そのリスクはSNSを介して深夜徘徊や闇バイトなど見えにくい場所へ深く潜り込んでいます」
タワマンという「外に逃げにくい住環境」もまた、子供を追い詰める材料となる。前出の西村氏は、ある医師家庭で起きた出来事を振り返る。
「日替わりで5人もの家庭教師をつけ、息子さんを無理やり超難関校にねじ込みました。しかし、合格した途端に糸が切れ、成績は低迷。父親が激高して締めつけを強めると、中学3年の冬、息子さんは自宅でバットを振り回したんです。今は自主退学し、引きこもっているそうです」
2週間後、西村氏がその自宅を訪ねると、凄惨な現場は跡形もなくなっていた。
「部屋はすべてリフォームされ、何事もなかったかのように『タワマンの日常』が復元されていました。壁の傷跡と一緒に、息子さんの悲痛な叫びまで塗り潰してしまった」

