開発からメンテナンスまで「一気通貫」…半導体需要に強み発揮
半導体の製造工程数は約1000もあるため、効率的に製造するには仕掛品のウエハーを各工程の装置に予定の時間通りに運ばなければならない。搬送中に粉塵などの異物が少しでも混入すれば即座に不良品になってしまう。
同社はウエハー同士が接触しないように搬送する技術や、ウエハーの加工面が腐食するのを防止するため保管中に窒素を充填するなどの技術を有する。
ダイフクは今後も半導体工場向けに売上を伸ばしていくだろう。以前は半導体の需給動向に波があり、半導体向け設備投資にも波があった。しかし、生成AIやデータセンター、自動車向けなどで半導体需要は高まるばかり。半導体関連企業の設備投資も増加して、ダイフクのビジネスも拡大する。
ダイフクの強みは、搬送システム全体の開発・設計から機器の製造、設置工事、メンテナンスまで自社で一気通貫できること。搬送用コンベヤーや無人配送車、ピッキングロボット、自動倉庫などを自社で生産して、顧客の要望に合わせてシステム化し納入する。機器を内製化しているので価格も抑えられる。
海外ではメンテナンスは別の企業が手がけるケースが多いが、ダイフクは自社で行う。このようなことができるマテハン企業はほとんどない。
「SATAS」にマテハン関連企業で唯一参画…半導体のさらなる性能向上に期待
ダイフクは2024年5月、米インテル日本法人など国内15の企業・団体によって設立された「半導体後工程自動化・標準化技術研究組合」(SATAS)に参画したと発表した。
半導体の性能を向上させるためには、前工程で半導体の電子回路の線幅を狭くして、よりたくさんの回路を描き込む必要がある。半導体の歴史は線幅を狭める歴史であったが、線幅は限界に近づきつつある。これからさらに高性能な半導体を製造するには、後工程を改善するしかない。SATASは2028年までに後工程を見直し、自動化と標準化を達成することを目指す。
参画しているのは、三菱総研を除けば半導体業界を代表する半導体メーカーや半導体製造装置メーカーであり、マテハン関連企業はダイフクのみだ。後工程の改善という重要な場面でダイフクへの期待は大きい。
堅実な社風の背景にある「ボウリングブーム」の苦い過去
今後成長が期待できる「空港向け」分野
これから半導体向け以外で期待できる分野は空港向けだろう。ダイフクは空港の手荷物搬送システムも手がける。手荷物を運搬するベルトコンベヤーや、X線と爆発物検査機器を組み合わせた危険物検知システムは米国内で数多くの導入実績がある。
テロの危険性が高い米国ではとても重宝されている。コロナが沈静化し世界中で人々の移動が活発になっており、空港関連のビジネスは今後も成長が期待される。
ダイフクはもともと、1970年代にマテハンのノウハウを活用してボウリングのピンをセットするマシンを製造していた。ボウリングマシンはコンベヤーと自動制御機器を組み合わせたもので、マテハンそのものだったのだ。
大ブームのおかげで、一時はボウリングマシンの売上高が全体の7割を超えた。大いに潤ったのだが、ブームが去るとまったく売れなくなってしまった。
この苦い経験からダイフクは、目先の利益を追わず、地道に顧客を開拓し、一歩一歩信頼を獲得することを大切にしている。
田宮 寛之
東洋経済新報社
編集局編集委員
