
文具のとびら編集部
文具のとびら編集部員は、先日プライベートで広島県呉市のセーラー万年筆広島工場見学に行ってきました。
とにかく驚いたのが、職人さんが手で行う工程が多いこと。その高い技術と、スタッフさんの万年筆愛に感動し、セーラー万年筆がますます好きになりました。
見学の様子を紹介します。
【工場見学概要】
■開催日:<工場見学+ペンメンテナンス>毎月第2水曜日
<工場見学+インク工房>毎月第3水曜日
<工場見学>第2・第3水曜以外の水曜日および金曜日
(ただし、毎月の最終稼働日および工場休業日を除く)
■時間:13:10~14:30(通常工場見学の場合。見学終了後にイベントを開催する日には終了時刻は参加状況により異なる)
■受付人数:1 回につき1~5人(5人に満たない場合は他のお客と一緒に案内する場合がある)
■工場見学受付専用ダイヤル:0823-55-7784
■電話予約受付時間:月曜日~金曜日 9:00~12:00、13:00~17:00
職人さんの技術が光る、万年筆づくりの現場
工場見学は完全予約制のため、まず電話での予約が必要です。
編集部員は、見学希望日の2カ月前の朝から予約を試みました。なかなかつながらず、かけ直すことを繰り返し、ついに予約が取れました。
そうして迎えた当日。工場の入口から看板や社名の入った石碑など見どころがたくさんありました。
看板に「工場見学」と示された入口を目指します
到着後はまず、アンケートに記入します。編集部員は何も考えず記入していましたが、後ほどペンメンテナンスで、このアンケートに書かれた文字から書き方の癖や筆圧などを言い当てていただいたので驚きました。
いよいよ工場見学スタート。まず動画で同社の歴史や、万年筆作りについて解説がありました。動画内では昔の工場の写真なども紹介されており、長い歴史を感じました。
続いて、工場内を歩き、実際のお仕事の様子を見学させていただきました。万年筆が作られるまでに、次のような多くの工程がありました。
1.金の熔解:金製ペン先の素になる合金を作る工程
2.圧延:インゴット(金の塊)をペンの種類ごとに決められた厚みになるまで延ばしていき金の帯材を作る
3.形状打ち抜き:圧延した帯材をペン先の形に打ち抜く
4.マーク打ち・ハート穴あけ:刻印を用いてセーラーのロゴマークやデザインを刻印。その後、ハート穴あけと字幅の刻印も
5.背曲げ:ペン先の基本形状となる、カーブをつけ成形
6.玉付け:ペンポイントを電気溶接により取り付ける
7.鋸割(のこわり):非常に薄い円盤状の砥石で、ペン先からハート穴まで切れ目を入れ、インクの通り道(切り割り)を作る
8.玉仕上げ:あらかじめ字幅ごとに決められた形状の溝が掘られた砥石でペンポイントの形状を仕上げていく
9.羽布磨き:艶出しとキズ落としのため、円盤状の布を何枚も重ね合わせた羽布を高速回転させペン先を磨く
10.ペン先調整:大先に組み込んだペン先を、1本ずつ顕微鏡を用いて、上下左右のずれとペン芯との位置を調整
11.筆記検査:実際に1本1本筆記確認をして、筆記状態の悪いものは再びペン先調整へ
12.組み立て:ペン先が組み込まれた大先と胴軸、蓋を手作業で組み立て。最後に蓋のはまり具合と傷・汚れなどがないか確認し、1本ずつ袋に入れて包装し、出荷する
職人さんが1本1本手で行う工程ばかりでとても驚きました。ステンレス万年筆は一部自動化されているものもあるそうですが、金ペンは今でも職人さんの技術により支えられているそうです。
鋸割などとても繊細な工程が多く、編集部員も見学中思わず息を止めて眺めてしまいました。
また、工程ごとにきちんと出来をチェックして、基準に達しないものはやり直しをされているそうです。
ショールーム観覧ではスタッフさんと楽しい万年筆トーク
見学後はショールームで大正時代から現代までの万年筆を見たり、最新アイテムを含む万年筆の試し書きができました。また、ショールーム内で一部製品のお買い物も可能です。編集部員が参加した日はペンメンテナンスのイベントも開催される日だったので、ショールーム観覧中に、1人ずつ名前を呼ばれてペンメンテナンスもしていただきました。
スタッフさんたちに日頃の万年筆の使い方の悩みを相談したり、「万年筆用ボトルインク インク工房」の色の番号に込められた意味を解説していただいたりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。万年筆のプロでいらっしゃる皆さんとワイワイお話できた時間が、とても幸せでした。
スタッフさんお手製のインク見本帳も美しかったです。
ペンメンテナンスでは、見学の最初に書いたアンケートの文字を見ながら、書き癖や筆圧にあったペン先に調整していただきました(ペンメンテナンスではセーラー製品を1本無料メンテナンス、他社製品は洗浄のみ)。
フィルムペーパーで丁寧に調整していただくと、5分ほどで全く違う書き心地になったので驚きました。左利きの編集員にも書きやすくなり、毎日愛用しています。
工場見学の最後には、なんとおみやげまでいただきました。万年筆とカートリッジのセットです。「工場見学記念」と書かれた箱も特別感があってうれしかったです。
日常的に使っている万年筆が、こんなにたくさんの方の手によって生み出されていることがわかり、とても感動した工場見学でした。
