◆漠然と感じた不便さが理解できるように
――制度面も含めた不便さについて、かたのさんはどう思われますか。かたのめい:正直、私は事故の直後にその不便さをはっきりと自覚できませんでした。確かに疲れやすいとか、メイクがしづらいとか、いろいろな不便さはありましたが、若かったので気力で乗り切れた部分があるんです。けれども、片目失明の人たちのなかには高齢の方もいらっしゃいますし、さまざまな理由で体力のない人もいます。いま、ようやく私もあの当時に漠然と感じた不便さが理解できるようになりました。やはり身体障害者ではないといわれてしまうと、「つらいことも多いんだけどな」と感じます。
◆歌手活動をはじめてから、各所から応援の声が
――翻って、現在、歌手活動を続ける源泉にはどのような思いがありますか。かたのめい:歌手として多くの人に歌を届けるようになってから、「実は私の子どもも片目失明なんです」という方からメッセージをいただくことが多くなりました。あるいはまったく別の障害や病気を抱えている方から応援の声をいただくこともあります。
私が想像していたよりも、多くの人たちが何かしらの生きづらさと向き合いながら生きているし、そうした人たちが前を向けるような楽曲を届けたいんです。障害や病気はもちろん、そうでなくても人生はままならないことが多いけど、その瞬間瞬間に寄り添える歌を紡いでいきたいですよね。
――2026年にはカラオケでも、かたのめいさんのMVがみられるようになるとか。
かたのめい:はい、デビューシングル『Croissant (クロワッサン) ~欠けた世界で気づけたもの~』がカラオケでも歌えるようになります! 前向きになりたいとき、カラオケボックスのなかで私に会いに来てくれたら嬉しいです。
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かたのめいさんを一言でいうなら不屈。光を失ってなお、夢を掴み取るバネがある。その根源には、事故の以前から彼女が多くの人を大切にし、されてきた温かみがあるのではないか。外見が変貌しても、その心意気と生き様が美しいことに変わりない。周囲を巻き込む魅力はいつまでも潰えない。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

