私は「監督たるもの会見を拒否してはならない」という考え方だ。たとえばMLBでは、監督を決める際に必ずGMが面談を行い、「しゃべれるかどうか」をチェックするほど、重要な要素なのである。ただし、巨人の体たらくを見ていると「会見拒否もやむを得ないかな……」と、同情したくもなる。
※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。

◆なぜ試合後の会見を拒否したのか
会見を拒否したのは、2024年シーズンにも2試合あった。それと2025年は4回だから、合わせて6回になる。すべて東京ドームの試合で、いずれもふがいない結果に終わっている。阿部監督のこの対応について、一部の巨人ファンからは、「親会社がメディア媒体なのだから、試合の勝敗にかかわらず、堂々と記者会見を受けるべきだ」と主張しているようだ。だが、先述したとおり、私は無理する必要はないんじゃないかと思っている。「江本はかばうのか」と青筋を立てる人もいるかもしれないが、もちろんそうではない。
会見拒否する姿を見て、阿部監督は「謙虚な人なんじゃないか」と思ったからだ。もしもあなたが監督だったら、こんな状況でも会見を受けますか?
自分が監督だったとして考えてみてほしい。情けない負け方をしたとき、試合後に冷静にふるまえる自信があるだろうか。私なら頭に血が上って、「アホか! こんな試合やってられるか!」と逆上してしまう。冷静に振舞える自信などないし、コメントする気力すら失せているかもしれない。
だが、それが普通なのだ。大半の人は、怒るか、ふがいなさのあまり言葉を失うかのどちらかになるはずだ。このとき監督が、
「あの選手はアホか!」
「バカのひとつおぼえみたいに、おんなじ失敗を繰り返しやがって」
などと、感情の赴くまま選手を批判しようものなら、間違いなく大バッシングを受けてしまう。選手にしても、自分のことを悪く言われたら当然気分を害するだろう。
意見があるなら、コーチを通じて選手に伝えればいいだけだ。腹の虫がおさまるまで、口をつぐんでいてもいい。普通の人ならばそう考えるはずだ。
◆「東京ドームだったからこそ、会見を拒否した」とも考えられる?
さて、阿部監督が会見拒否したのは、すべて東京ドームでの試合である。この点に注目してみよう。
「せっかく足を運んでくれたお客さんに、みっともない試合を見せてしまって申し訳ない」
こんな気持ちが芽生え、反省していることだって十分考えられる。
巨人的な思考ともいえるのだが、お客さんの中には常連もいれば、はじめて観戦に訪れた人もいる。後者の場合は、「わざわざお金を出して野球観戦するのはやめよう」という考えになってしまうかもしれない。
そのうえ、阿部監督が怒りに任せたコメントを発すれば、泣きっ面に蜂だ。
「うわ、この監督は怖いな」
厳しいコメントを「きつい」と受け止めてしまう人も一定数いる。ひとたびこう感じてしまえば、東京ドームから足が遠のくのではないか。
そう考えると、阿部監督のふるまいを非難はしにくい。負けた直後にもかかわらず、さわやかにコメントできるほうがおかしいとも思う。

