5日に豊洲市場で行われた初競りで、青森県大間産のクロマグロが史上最高額の5億1030万円で落札された。これを受け、メディアでは「漁師には4億円超が手元に入る」と報じられ、その夢のある金額に世間が色めき立った。
しかし、「利益あるところに課税あり」というのが税制の鉄則だ。仮に、一番マグロを釣り上げた漁師が個人事業主だったとして、「4億円」という巨額収入を得た場合、一体いくらが税金として消え、最終的にいくら残るのか。
気になる内訳について、ベリーベスト税理士事務所代表・岸健一氏に取材した。
「4億円超」に課税される税金の種類
報道によれば、落札価格5億1030万円から、まずは所定の手数料として、地元漁協に5%(2551万5000円)、青森漁連に1.5%(765万4500円)、一番マグロの荷受けを担当した水産物卸売会社に6.5%(3316万9500円)が支払われる。
漁師の手元に入るとされる「4億円超」という金額は、手数料の合計金額(6633万9000円)を差し引いて導き出されたようだ。
さて、日本の所得税は「累進課税」を採用しており、稼げば稼ぐほど税率が上がる。税理士の岸氏は、「大間のマグロ漁師ともなれば、もともと高所得層であることも多く、今回の巨額収入によって、ほぼ間違いなく最高税率の適用対象となる」と指摘する。
具体的に、課税されるのは以下の4種類だ。
- 所得税:最高税率45%
- 住民税:一律10%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
- 消費税:売上に応じて納税義務が発生
その上で、岸氏は「ざっくりと言えば、経費を除いた利益の約55%が税金として消えていく計算になる」と言う。
結局いくら手元に残る?
では、今回のケースでは、具体的にどのくらいの金額が手元に残る計算になるのだろうか。
まず、今回の落札価格(5億1030万円)から、漁協などに支払われる手数料(6633万9000円)を差し引くと「4億4396万1000円」となる。ここから消費税(振込額のうち110分の10=4036万円)を引いた金額が「4億360万1000円」。
さらに、岸氏が指摘したように、所得税・住民税等に最高税率(約55%=2億2198万円)が適用されると仮定すると、手元に残る資金は1億8162万1000円となる。

※数値は分かりやすくするため、一部で端数を切り捨てるなどの調整を行っています。
なお、実際には税金のほか、エサ代、燃料費、漁船・各種器具の減価償却費といった必要経費のほか、各種控除や社会保険料の変動なども発生するものの、「4億円という金額からすれば些末(さまつ)」(岸氏)であるため、今回は税金にのみ絞って大まかな金額を算出した。
さらに、ここから船の乗組員への配分が行われれば、船主個人の純粋な「取り分」は、より少なくなるだろう。
報じられた「4億円超」という数字は、漁師が個人事業主だった場合、その半分以上が国や自治体への納税へと姿を変える。史上最高落札額の熱狂の裏で漁師を待ち受けているのは、2億円を超える「超高額納税」という、避けては通れない社会の現実なのである。

