◆ストレスを抱える日々の中で見つけた“そのとき”を楽しむ暮らし

「会社では通訳をつけてくれたので環境としては恵まれていましたが、やっぱり微妙なニュアンスが伝わらなかったり、自分の気持ちをうまく表現できなかったりすることが多かったんです。
日本語ではとても丁寧で誠意を感じさせる言葉でも、英語やタイ語にするとストレートに伝わってしまって、そのぶん、誠意が欠けているように受け取られてしまうこともありました。自分が発する言葉のチョイスには本当に悩みましたし、なかなか語学が身につかない自分にイライラすることもありました(笑)」
給料も減り、言葉の壁にストレスを抱える日々。そんな中で心の糧となったのが、タイならではの“お金をかけなくても楽しめる暮らし”だった。
「ローカル市場で安い野菜を買ったり、ドン・キホーテでお肉の安売り日を狙ったり、スーパーのポイントデーに合わせて買い物をしたり。そんな日々の小さな工夫が楽しくなっていったんです。何でも簡単に手に入ったテレビ局時代より、ずっと人間らしい。忙しさに追われ、虚しさを感じていた日本での日々とはまるで違って、生きている実感が湧きましたね」
では、言葉の壁からくるフラストレーションはどうやって乗り越えたのか。
「タイで仕事をするうえで、語学ができるとやはりスムーズです。最初の就職先では午前中に3ヶ月間語学学校に通い、その後はプライベートレッスンも受けましたが、今でもビジネスでの読み書きはできません。それでも、タイの人たちが“できないこと”よりも“できること”に目を向け、その瞬間を楽しんで生きている姿に学びました。そこから、“言葉が話せない=マイナス”ではなく、むしろ話せないからこそ自分にできることを探そうと前向きに捉えるようになり、気持ちがとてもラクになりましたね。
◆タイと日本をつなぐYouTubeチャンネルのディレクターに

多くのYouTubeチャンネルが固定出演者を中心に構成されるなか、「JaPhai」では元アナウンサーや現役CA、タレント、駐在員の妻、学生など、多彩な顔ぶれがボランティアで参加している。最近では、出演者のひとりがシンガポールのテレビ局CNAから取材を受けるなど、海外からの注目も高まりつつある。
「出演してくれる人は本当に多彩で、“面白そうだから出たい”とか“思い出になるから出たい”と、自ら名乗り出てくれる方もいます。本当にありがたいですし、このチャンネルが人と人とをつなぐ場になっていると実感します。やっぱり地元の人とのふれあいは反響も大きくて、そこはテレビの世界とも通じる部分だと思いますね」
編集はテレビ局時代の上司のアドバイスが生かされているという。
「自分の基準と他人の基準は同じではないので、『これは知っているだろう』という前提ではなく、常に視聴者の目線を意識しています。ただ情報を伝えるだけじゃなく、視聴者にとっても出演者にとっても心に残る、そんな“人をつなぐチャンネル”にしていきたいですね」
また、「JaPhai」とバンコクで人気の日本人オーナーがデザインを手掛けるジュエリー雑貨店とのコラボで生まれた商品もある。

コラボ商品をきっかけにジュエリー雑貨店のオーナーから声が掛かり、現在はYouTubeの運営と並行して活動している。

