◆「言語化」こそ一発逆転の武器
そこで役に立つのが「言語化」のスキル。自分の納得していない部分を言語化し、なぜ納得できていないかを言語化し、どうすれば納得できるかを言語化すれば、その先にたどり着くのは容易。
逆を言えば、どこかで詰まるようならば、それは理解できていないことと同義。自力で「自分の言葉」に起こせるようになるまで考えることで、理解の精度は高まっていきます。
言語化の練習法は、普段から使っている言葉を、なるべく精緻なものへ置き換えること。
例えば「すごい」という形容詞は「程度が甚だしい」を表せることからか、あらゆるシーンで使えます。
ですが、便利な言葉を使っているだけでは、いつまで経っても厳密な輪郭をとらえられない。
「この人、すごいんだ!」ではなく「すごく面白い」「すごく人気」「すごくカッコいい」など「何がすごいのか?」を描写したほうが、伝わります。
そして、次に「なぜ○○なのか?」も言語化する。すなわち「すごく面白い」だけでは伝わりませんから、「教養に富んでいて様々な角度からいつも違ったジョークを飛ばしてくるし、しかもそれが毎回場面を絶妙に皮肉っている」など、理由を添えるようにする。
これがより具体的にできるようになるほど、世界を正確にとらえられるようになり、言語化能力は高まります。
◆貧乏人に残された“とっておき”
私が見た限りでは、東大生ですら、言語化能力が高い人はそう多くありません。しかし、この能力が高いほど、勉強の効率は飛躍的に高まります。そして、言語化スキルは、意識して日常生活を送れば、意図せず高められる「机の上に限らない勉強」。
むしろ、塾や学校ではあまり教えてくれません。
言われっぱなしの言いなり人間には、一生身につかない”気付いた人だけの武器”です。
そして、私は、貧乏人や地方で塾がない“不遇な才人”に残された最後の武器こそが「言語化」だと考えています。
常に考え続ける姿勢さえあれば、日常生活のすべてを題材として磨き続けられる最強の学習ツールであり、さらに受験が終わってからもあらゆるシーンで活躍する至高の切り札となるからです。
言葉は誰が使っても無料であり、ChatGPTなどに頼れば、無料で磨くことも可能。苦手でも、「私が今日得た気付きを文章としてアウトプットするので、さらに精緻に言語化するための案を出してください」などとお願いしたAIに添削してもらえば、少しずつうまくなるでしょう。
受験は貧乏人が成り上がれる大きなチャンスです。ブックオフでそろえた中古参考書だけでも早慶・旧帝大クラスの過去問に太刀打ち可能な知識は身につく。
ただ、そのためには「理解力」をあげなくてはなりません。塾で提供される圧倒的な量の演習には、逆立ちしても敵わないのだから、一問あたりから吸収できる知識や考え方を最大化しなくてはいけない。
だからこそ、私は「貧乏人は言葉を磨け」と伝えたい。
貧乏ならば、伝手がなければ、設備が整っていなければ、最後に残された「言葉」を武器にして戦うべき。
2026年の受験も佳境を迎えますが、もしこの記事を読まれている受験生がいるならば、「本当に自分は解いてきた問題を全て説明できるか?」を確かめてみてください。
それこそが、何よりも効く受験対策になるはずです。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

