鍋の醍醐味とは何か? それは、具材の旨みがベースの出汁に溶け込み、重なりあっていくこと。
そのおいしさの秘密は、ハーモニーと奥行きにある。組み合わせることで味わいが一層引き立つ具材の代表格が、ねぎとごぼう。

今回は、『KOMB』の鍋には欠かせない食材のひとつでもある、九条ねぎを。 香りがよく、柔らかく、ほどよい辛味が魅力だ。 火を通すと、その辛味はまろやかになり、甘味としても膨らんでいく。 大胆にぶつ切りにしても、斜めに千切りにしてもおいしい。
一方、土の中で育った野菜であるごぼうには、独特の香りがある。私の店でも、鍋の具材としてだけでなく、魚や肉の臭み消しとしてもよく使っている。
実は、ごぼうの出汁は驚くほどコクがあり、満足感のある味わい。動物性の出汁がなくても、十分においしい。
ねぎとごぼう鍋は、九条ねぎのやさしい甘味と、ごぼうの深い香りが出汁に溶け合い、滋味深い味わいとなる。

漢方の知恵では、 ねぎは体を温め、巡りを良くする食材とされている。冷えを追い出し、滞りをほぐしてくれる力があるのだ。 そして、ごぼうは食物繊維が豊富で、老廃物を外に排出する。内側から整え、体の土台からすっきりさせてくれる。
体が縮こまり、循環が悪くなりがちな今の時季こそ、ねぎで温め、ごぼうで整える。この組み合わせは、冬の鍋として理にかなっている。 食べた瞬間に「効いた!」と感じる派手さはないけれど、食べ終わった後には、体がふっと軽くなるのを実感できる。 出汁が重なり、体が緩み、気持ちまでほどけていく。
おうちでぬくぬくと、鍋時間を楽しみたい。
recipe
九条ねぎとごぼう鍋

【材料(3人前)】
・九条ねぎ…3本
・ごぼう…120g
・米油…大さじ1
・鶏もも肉…1枚
・出汁…1.5L
・薄口醤油…大さじ2
・ぽん酢
・お好みの薬味






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和食レストラン兼アトリエ『KOMB』 シェフ&オーナー 原田アンナベル聖子

はらだ・あんなべる・せいこ/2022年、東京・神楽坂に和食レストラン兼アトリエ『KOMB』を起業。「四季の移ろいを大切にする」というブランドコンセプトを体現すべく、多岐に事業を手がけている。自身が料理人として厨房に立つ傍ら、料理教室や瓶詰めの自社EC事業、ファッションブランドのケータリングプロデュースなど行う。

