アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙は2026年1月8日、中国が日本企業へのレアアース輸出を制限し始めたと報じた。

これは非常に重い経済的圧力となる。レアアースはEV(電気自動車)のモーター製造やハイテク産業に不可欠な資源であり、日本は約6割を中国からの輸入に頼っており、物価高への懸念が指摘されている。日本の資源戦略を根底から問い直す局面だ。
レアアースの「中国一強」は偶然ではなく構造
そもそも、なぜレアアースは中国依存になっているのか。
アメリカ地質調査所(USGS)によれば、2024年時点で世界のレアアース確認埋蔵量約9000万トンのうち、中国は半分近い4400万トンを占める。
国際エネルギー機関(IEA)のレポートでも、レアアースを工業利用が可能な形に精錬する工程で、中国が世界の91%のシェアを握っているとされる。
レアアースは鉱石から取り出す過程で大量の有害廃棄物が発生する。適切な処理にはコストがかかり、環境規制の厳しい国では採算が合いにくい。一方、かつての中国は環境規制が緩かったため、精錬を低コストで大量に行うことができた。結果として「採れても最終加工は中国で行われる」構造が固定化していったのである。
さらに中国は、採掘から精製、合金化、磁石製造までを一括して行い、物流や供給網も含めた一体体制を築いた。いまやレアアースの世界的な供給網そのものが中国中心に構築されていると言ってよい。
中央アジアを有望視してきたが
日本は中国への一国依存の危険性を早くから察知し、調達先の分散を進めてきた。中国依存は2010年の89.8%から、2024年には62.9%まで減った。しかし、これは主にベトナムからの調達拡大によるもので、同国の精錬シェアは1%に過ぎず供給には限界がある。
さらに日本はカザフスタンなど中央アジアを有望視してきたが、インフラ不足や資金力、政治リスクが重なり、期待ほどの成果は出ていない。
アメリカのマウンテン・パスやオーストラリアのライナスなど主要企業も存在するが、最終工程である精錬能力では中国に遠く及ばない。
「では日本が採掘すればよい」という考えもあるが、日本近海にレアアースが存在することは知られているものの、環境問題や莫大な採掘・精錬コストを考えると現実的な解ではない。
つまり、レアアースの「脱中国」は現実的には容易ではないのだ。