
◆生活費と音大奨学金支払いのために始めたラブホ清掃バイト

古山:私は音大出身なんですが、在学中から商業施設内の雑貨屋でアルバイトをしていて、卒業後は創作活動をしながら同じところでバイトを続けていました。ゆくゆくはそこで正社員になることも考えていましたが、大学卒業後は出ていくお金が増えるし奨学金返済もあるしで、なかなか懐事情が厳しくて……。雑貨屋のバイトが昼間だったので、夜中にダブルワークできるところを探してたどりついたのがラブホテルの清掃でした。
元々夜の世界にまつわるルポルタージュを読むのが好きだったので、その影響もあると思います。生活の足しにするつもりで始めましたが、ラブホ清掃バイトの方が楽しくなってしまって、いつの間にかアルバイトはラブホ清掃一本になっていました。
——ラブホの清掃作業はどのような流れで行いますか?他の清掃バイトと違うところはありますか?
古山:シーツやタオルなどが置いてあるリネン室内に我々が待機しているスタッフルームがあって、各階のリネン室に「空き」、「ショートタイム」、「宿泊」などの各部屋の入室状況が書いてあるモニターが置いてあります。「お客様が精算中です」とアナウンスされたら「そろそろ行くか」と腰を上げて。いよいよ「退室中です」と聞こえたら、お客さんと鉢合わせないようにリネン室の覗き穴から確認して、エレベーターに乗ったのを見届けてから部屋に行きます。他の清掃バイトと一番違うのは、このお客さんと会わないように気を付けるところかもしれませんね。
部屋に入ったら最初はタバコの火や電源が入ったままのヘアアイロンなど出火の原因になるものがないか確認したり、浴槽のお湯を抜いたりといった掃除の下準備をします。その後は大抵複数の部屋を同時に掃除していくので、部屋担当・洗面担当・お風呂担当に分かれて片付けていきます。
——回転率重視でテキパキ作業されているんですね。退出するのを覗いているのは知らなかったです!
古山:そうなんです。たまにそれを知っているようで、こちらに向かって会釈してくれる人もいます。たぶん同業者ですね(笑)。
◆「大入り」の日は従業員のやる気アップ!

古山:場所によっては高時給のところもあるようですが、私の働いているところはそれほど高いわけではありません。ただ時給の他に「大入り(おおいり)」という手当があります。その日のお客さんの出入りが規定数を超えるともらえるもので、例えば100を超えたらプラス1500円、120を超えたらプラス2000円という感じでどんどん上がっていく仕組みです。月によっては大入り手当で数万円になることもあります。
大入り手当は繁忙期かどうか関係なくもらえるので、平日でも「今日は『大入り』いったね!」なんて盛り上がることもあります。やっぱりクリスマスとかはどんどん回転するので体力的にはしんどいのですが、溜まっていく疲労とは裏腹に「もっと入れ、もっと入れ!」と祈っています。逆に中途半端に忙しいのにギリギリ大入りには届かない日はみんなやる気がなくなってしまいますね。
——年末年始も大入りに届くイメージですがどうですか?
古山:それが年末年始は意外と規定数を超えないんです。宿泊するお客さんが多いので。宿泊ではなくショートで入ると、大体2時間程度で退出されるので、掃除をすればまた次のお客さんが入れられるんですけど、宿泊だと翌朝まで部屋が空かないので回転数にはつながりません。
私のバイト先では、クリスマスの他には三連休の中日にショートで利用される方がとても多いです。回転数の多い時期はホテルの立地や、どういうプランをやっているか、デリを利用されるお客さんが多いかなどに結構左右されると思います。

